Extra 『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』第三章「純愛篇」
新宿ピカデリーにて『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』第三章「純愛篇」を鑑賞。全七章で製作される『宇宙戦艦ヤマト2202』の第7話~第10話をまとめた3週間限定のイベント上映。
ガトランティスによる第十一番惑星への襲撃に危機に陥るヤマト。ガトランティスの増援部隊はさらに増え、数百万という大艦隊となっていた。これを突破するには、封印した波動砲を使うしかない。そして、苦悩する古代は決断を下す。第十一番惑星を離れたヤマトは避難民を地球に帰すために、惑星シュトラバーゼでガミラス艦隊と接触する。ヤマトに密航していた森雪に避難民を託した古代は、アケーリアス文明の遺跡でガトランティスのズォーダーと対峙していた。
テレサからのメッセージを受け、地球を後にしたヤマトを統率する艦長代理の古代。精神的に追いつめられていっぱいいっぱいの古代に降りかかる苦渋の決断の連続。スターシアと約束した波動砲の不使用、愛するがゆえに地球に残るように命じた森雪、避難民の乗ったガミラス艦を遅う反乱軍、そして、愛を説くズォーダーとの対峙……。この第三章は、古代の苦悩が延々と語られている感じで、全編で息苦しい展開。
ここまで古代を追い込む必要があるのか。イスカンダルへの旅、それから『星巡る方舟』でたくましく成長したはずの古代の姿は本作には反映されていない気がしました。
ここまで観てきて、『宇宙戦艦ヤマト2199』からの続きといいながら、全体的に線がつながっていない、新しい方向の線が増え、その数が膨大で、かつ、それぞれが明後日の方向を向いて伸びながら、線によってはまっすぐ、ある線では弧を描き、ある線は直角に折れ曲がり……シリーズ構成として大混乱に陥っている雰囲気を感じます。
ズォーダーとやり取りは哲学の範疇ですし、その世界観が果たしてヤマトに必要だろうかとも感じましたし、第三章全体が、全七章の中で必要不可欠な話には思えませんでした。後々のために必要な伏線と思われるものはいろいろと盛り込まれていますが、それだけを抜き出してまとめれば3分の2、もしくは半分くらいでもいいかも知れません。
物語の流れとしては、第十一番惑星の戦いから寸断なくつながっている形にはなっていますが、全体を俯瞰すると非常にテンポが悪くなっています。戦闘シーンが少なかったこともあるかも知れませんが、緩急の付け方にもっと工夫が必要でしょうか。
この第三章で貯まったフラストレーションは、第四章以降、激しさを増すと思われる戦いで一気に消化されるのかも知れませんが、折り返し前にここまでの重さを持たせる必要があったのかどうか。他のクルーの話が鳴かず飛ばずの状態で、古代にばかりフィーチャーしたというイメージの第三章。
次はいよいよテレザートでゴーランドやザバイバルらとの激突になりそうですが、講釈をたれることなく、スカッと終わらせる章になってほしいなと思います。
『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』第三章「純愛篇」は、3週間限定劇場上映中です。
©西﨑義展/宇宙戦艦ヤマト2202 製作委員会
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