Vol.261 『パッセンジャー』
TOHOシネマズ日本橋にて『パッセンジャー』を鑑賞。実は4月上旬に観ていたのですが、なかなか手が付けられず紹介できていませんでした。ジェニファー・ローレンス、クリス・プラット主演のSF映画。
新たな居住地を目指して航行中の豪華宇宙船アヴァロン号。目的地まで120年かかる船内では5000人の乗客が冬眠していた。しかし、到着まで90年という位置で2人の男女が目覚めてしまう。なぜ2人は目覚めてしまったのか? 再冬眠不可能の絶望的な状況の中、2人に試練が訪れる……。
SFというジャンルではありますが、基本的には恋愛映画です。売れっ子ジャーナリストのオーロラ(ジェニファー・ローレンス)と、エンジニアのジム(クリス・プラット)という、このようなことがなければ出会うことはなかった身分の違う2人。その2人が、目覚めるはずのなかった地点で目覚めてしまった。
もちろん、目が覚めてしまった理由というものがあり、それが大きな困難となり、2人に立ちふさがるわけですが、基本的には身分違いの2人の恋愛模様というドラマ。『タイタニック』をイメージしてもらうとわかりやすいかも知れません。
登場人物は基本的に2人です。ほかにはアンドロイドのバーテンダーがいるだけで、映画自体はこの3人(2人と1体)だけで進んでいくというのがすごい。たったこれだけで物語を見せるには、出演者の演技力がないと持たないでしょう。出演作が次々とヒットする2人の演技があって成り立ったと言えます。
もちろん、話として引っ張っていけるだけのシナリオも重要です。宇宙船内という限られた空間で少人数で進行する物語で、観客を飽きさせることなく最後まで見せるには、相応のシナリオでないと難しい。
とはいえ、物語としては、それほど深いものではなく、坦々と流れていく感じと言えばいいでしょうか。特に驚くような展開があるわけではなく、安心して観ていられる感じです。
特撮部分についても、アヴァロン号のデザインは素晴らしいとは思うのですが、船内はまさに豪華客船の船の内部で目新しい要素はあまりありません。宇宙遊泳シーンなども含めて、目新しいシーンはほとんどなく、強いて言うと、無重力下でのプールのシーンくらいでしょうか。
それにしてもこの船、リスクヘッジがなってないというか。冬眠技術がどれだけ進歩しているのかわかりませんが、完全自動航行で、乗組員も全員冬眠しています。120年も掛かるので、ずっと起きているわけにはいかないとは思いますが、250人以上の乗組員がいるのであれば、交代勤務くらいしててもいいような。
少なくとも、イレギュラーが起こって乗客が起きてしまったら、乗組員も目覚めるくらいの対応は仕掛けられてしかるべきじゃないかと思うのですが……そもそも、船内で再冬眠できないってひどい。万が一の場合に供えた設備がまったくないんですよね。この点を突っ込んでしまうと、この映画の根本が揺らいでしまうので、まあ、そういう部分がアバウトな会社なんだろうということにしときましょう。
ストーリーとしては単調でありながら、その雰囲気と2人の演技力だけでしっかり最後まで観られる映画です。派手なSF映画を望む人には合わないかも知れませんが、最後まで安心して観られる映画です。
あっ、本作にはアンディ・ガルシアも出演しています。彼が出てることは知らなかったのでちょっと驚きましたが、カメオ出演的にほんの一瞬出てくるだけでした。もったいない……。
『パッセンジャー』は、すでに公開は終了、8月2日にBlu-rayやDVDが発売予定です。
©2017 Sony Pictures Entertainmet.
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