Vol.249 『10 クローバーフィールド・レーン』
マスコミ試写にて『10 クローバーフィールド・レーン』を鑑賞。J.J.エイブラムスがプロデュースしたSF映画。
交通事故を起こしたミシェルは、目が覚めると、ハワードの家の地下にあるというシェルターの中にいた。ハワードは言う「きみを救うためにここへ連れてきた」と。そして「襲撃された。人類は滅亡した」と告げられる。そして、もう1人シェルターに避難していたエメットと3人の共同生活が始まるが、ハワードへの不信感が募っていく。そしてミシェルはシェルターからの脱出を試みる……。
密閉された空間で、限られた情報だけで進行していく本作は、SF映画ではありますがサスペンス色が非常に濃い作品。外では一体何が起きているのか? ハワードは信用できる人物なのか? 彼が言っていることは本当の話なのか? 何に襲撃されたのか? 外の世界は本当に汚染されているのか?
疑問への回答が得られないまま進む心理ゲーム。シェルター内の3人のやり取り、そして駆け引きだけで進んでいくストーリー展開は、観客を傍観者ではなく、シェルター内にいるかのような錯覚すら覚えます。ミシェル、ハワード、エメット。誰の考えが正しく、どのような行動が正解なのか……。
シェルターという狭い空間の中で話が進んでいくこともあり、どこか息苦しく感じる画がさらに緊迫感を高めます。ハワードというキャラクターがまた不気味な雰囲気があり、シェルター内では力を持っていることもあって、どうしても主人公であるミシェルに肩入れしたくなるのですが、その視点が正しいかどうかも疑問になり、ずっと不安を抱えたまま戦々恐々として映画を観ている感じでした。
逆に言えば、それだけ没入感を持って観られる映画であり、派手な映像ではないのにぐいぐい引っ張られていくというところでしょうか。
その引き込まれてるところで……音がすごいというか、ある意味卑怯というか(^_^;) 本作は、心臓の悪い方にはオススメしません。ちょっとやりすぎ感があるので、途中で慣れてしまいますがね。
本作に興味がある方にとっては、『クローバーフィールド/HAKAISHA』との関係が気になるところだと思いますが、J.J.エイブラムスの言葉を借りると「両作は同じDNAを持ち、特別な繋がりを持つ作品集の一遍」です。『10 クローバーフィールド・レーン』というタイトルの意味が明らかになったとき……私はのけぞりました。この意味は観てご確認ください。
作品としては、かなりシビアなSFであり、サスペンスですので、少し覚悟を持ってみることをオススメします。ぬるいSFが多い!とお嘆きのあなたには最適な作品です。
『10 クローバーフィールド・レーン』は、6月17日より全国公開です。
©2016 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.
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