大泉洋『バケモノの子』実写版を希望! 完成披露会見 前編
7月11日から456スクリーンという規模で公開される、細田守監督最新作『バケモノの子』が完成し、完成披露会見が行われました。
スタッフ・キャストともに考え得るかぎりのすごい面子が揃ったと語る細田監督の言葉通り、エンドロールでは驚くほど豪華な名前がクレジットされている本作。会見では、メインキャストの方々と細田監督、斎藤プロデューサーが登壇し、映画について、アフレコ現場についてなど、本作の魅力あふれるお話しを聞くことができました。
●『バケモノの子』完成披露会見
日時:6月15日 16時~
場所:東京国際フォーラムC
登壇者:役所広司さん、宮﨑あおいさん、染谷将太さん、広瀬すずさん、大泉洋さん、リリー・フランキーさん、細田守監督、斎藤優一郎プロデューサー
・夏休みにこだわる理由について
斎藤プロデューサー「企画当初に話していた子どもと大人が一緒に楽しめる新しいアニメーション映画の王道ができた」、役所さん「夏休みに親子で楽しめる映画です」と、最初の挨拶で紹介された通り、幅広い年代が楽しめる本作。
細田監督はこれまで『時をかける少女』、『サマーウォーズ』、『おおかみこどもの雨と雪』と、3年起きに夏休みに映画を公開しています。会見舞台にはそれぞれの作品に象徴的に描かれた、青空に入道雲の背景。この夏休み、入道雲にこだわる理由について細田監督は次のように語りました。
細田監督:「入道雲というのは成長していきます。小さい状態からもくもくと立派に成長していく。映画というのは、主人公がささやかな一歩かも知れないけど、成長する、あるいは前に進むといったことを描いています。そういうことを象徴する意味で入道雲が大きくなっていく様を象徴的に描いて託しています。
それから夏休みにアニメを観るというのは、子どもにとって重要なことだと思うのです。子ども時代の思い出の一つとして。自分自身もそうなんですけど、その時に見た作品は、単におもしろかったというだけでなくて子ども時代の夏を彩る作品なんです。
そして、自分が作る側になり、子どもたちの夏の思い出、大きくなってから思い出すような夏の思い出というのを映画の中で作ってあげたいなという気持ちで作っているところがあります。
子どもたちにとって、夏休みに冒険をして一皮むける、成長するというのはなくてはならないものです。それを体現したような映画というのはなくてはならなくて、子どもはそういうものを観るべきです。自分自身もそうやって名作アニメで得てきたものがあるので、巡り巡ってお返ししなきゃという気持ちがあります。」
・本作について
初めて細田監督作品に参加して、必死に印象懸命挑戦したという役所広司さんはクマのバケモノで主役の熊徹を演じています。
役所さん:「自分の顔が出てないので気楽に観られるかと思ったのですが、映画が始まったら、熊徹、ちゃんとセリフ言えるだろうかと思ったりして、ほんとに緊張しました。熊徹の最後のセリフが流れたときまでドキドキしましたね。こういうことは初めての体験でした。あっという間の2時間弱で、そのくらい引き込まれました。」
『おおかみこどもの雨と雪』に続いての出演となった宮﨑あおいさんは、他のキャストの方々と一緒にこうして舞台に立てることをうれしく思うと語り、充実した時間を過ごせて参加できたことをうれしく思うと語った染谷将太さん。お二人は熊徹の弟子となる人間の九太の少年時代と青年時代をそれぞれ担当しています。
宮﨑さん:「映画出演は声だけのほうが観るのが緊張するんです。ちゃんとできただろうかと不安で、観始めてからしばらくは緊張しながら見ていました。私は途中で染谷くんにバトンタッチするのでそこからはすごくリラックスしながら、ああいい映画だな、すごいなと思いながら観ていました。
男同士の話ではありますけど女性が観ても共感できる部分、人との関係性であったり、子どもを育てる、子どもに育てられるっていうことがあったり、女性も共感できる映画だと思います。」
染谷さん:「僕は宮﨑さんとまったく逆でして、少年期までは安心してワクワクドキドキしながらいい映画だなと観てました。声変わりして僕が担当するところになってからがちょっと不安になってくるというか(笑)」
声だけの仕事は初めてで、その最初が細田作品だったことを幸せに思うと語った広瀬すずさんは、渋谷の街で九太と出会う人間の少女・楓役。普段緊張しないタイプなのに、アフレコはこれまでの仕事でいちばん緊張したとのこと。
広瀬さん:「完成した作品を観て、映画の中で自分の声が楓ちゃんとして生きているのがすごく不思議な感覚でした。作品としていろんな形の愛情というものを感じて、これがどんどんたくさんの人に観てもらえるんだなと思ったらドキドキしました。」
やっと完成して観ていただける日がきたことに特別な気持ちでいるというリリー・フランキーさんは熊徹の悪友であるブタのバケモノ百秋坊役。
リリーさん:「監督からブタの役でと言われて、俺、ブタっぽいとこあるかなと思いました。でもやせてるブタで、こういう感じだったかと(笑)
改めて完成した作品を観るととても楽しいし、バケモノが戦う大会とかいろいろ出てきますけど、心がよどんでいるキャラがいない。ライバル同士がいがみあってるわけでもない。結局いさかいのもとを作るのは人間という部分は、ちょっと考えるとこもありました。幅広い年代の人に観ていただける作品になったなと思います。」
声優の仕事をしてもいつも一人で入れることが多く、これだけの役者の方々と一緒に声を入れるというのがとても新鮮だったと語る大泉洋さんは、熊徹の悪友であるサルのバケモノ多々良役。
先日MOVIEWでもレビューを掲載しましたが、その特別先行試写はTOHOシネマズスカラ座で行われました。スカラ座は地下にある映画館で、出口まで階段を上がって外に出ます。試写を観終わってその階段を上がっていると、私の右隣を一緒のタイミングで上がっている人が連れの方に「いやぁ、とんでもない映画ができちゃったねぇ~。素晴らしかった!」と非常に興奮した高いテンションで話されていました。声の主は大泉さんでした。念のため書きますが、盗み聞きしたのではなく、周囲3mの人には聞こえたであろうテンションでしたw
大泉さん:「ほんの3日くらい前に劇場で観させてもらったんですけど、久しぶりに子どもの頃の感覚に戻ったという感じでした。観終わった後、今日は寝られないぞという感覚。映画が終わったのが23時過ぎで夜だったんですけど興奮してるんですよね。この高揚感はなんだと思って、この感動を誰かに伝えたいわけですよ。
これは迷惑だと思いましたけど役所さんにメールしました。たいへん迷惑だと思ったんですけど、「すばらしかった!」って。ほんとは監督にメールしたかったんですけどメアドを知らないもんで(笑)」
役所さん:「メールをもらって返信しました。次の日「多々良がすばらしい。多々良は大泉さんしかできない。ほんとに素晴らしかった」とほめ返しました。」
大泉さん:「そんなほめ返すようなメールをさせたことが、いかに迷惑だったかと思いましたね(笑)」
・次は実写版で
その感動から実写版を提案する大泉さん。
大泉さん:「熊徹のセリフとか、一つ一つ、最後のほうは泣けるし、かっこいい。子どもも楽しめるんでしょうけど、40歳のおっさんにはたまらない世界観でしたね。監督がおっしゃったように子どものころの夏休みに観た、友達同士と観たといえるような雰囲気を思い出しましたし、やっぱりアニメのスケールのでかさですよね。
バケモノと人間の子どもという突飛な関係でありながら見事に親子の関係が描かれているし、そこに本当の父親がからんでくる、かと思いきや、渋谷の街がとんでもないことになるような大きなスケールの話じゃないですか。
これってやっぱりアニメならではだなと思いながらも、声で参加しましたが役者としては実写でこういうスケールのものをやりたいなと思うんです。最終的にはこのメンバーで『バケモノの子』を実写で撮りたいなと思ったりするんです。
ぜひこのままのキャストでやらせていただいて、大きな九太は染谷くんがやりますから。僕とリリーさんは鼻と耳つけていきますからね。あれだけのアクションしないといけないから役所さんがきついかも知れませんけど……。」
細田監督:「ほんとに光栄ですね、そういっていただけると。」
大泉さん:「3年後の夏休みは実写版で(笑)」
ここでMCによる代表質問が終了し、この後はメディアによる質疑応答となります。
長くなったのでここでいったん切り、次のページへ続きます。
『バケモノの子』
7月11日、全国東宝系にてロードショー
©2015 THE BOY AND THE BEAST FILM PARTNERS
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