中田亮&丸屋九兵衛が「JB Tribute Bar」でJB愛あふれる熱いトーク!
“ファンクの帝王”ジェームス・ブラウン(JB)の波乱万丈の生涯、その栄光と挫折を描いた『ジェームス・ブラウン~最高の魂(ソウル)を持つ男~』が5月30日から公開中。本作とのタイアップで期間限定で「JB Tribute Bar」として営業中の東京・吉祥寺の「QUATTRO LABO」にて、5月28日(木)にトークイベントを開催!
ファンクバンド「オーサカ=モノレール」の中田亮と音楽情報サイト「bmr」編集長で、音楽評論からSF評論、DJまで多彩な活動を行っている丸屋九兵衛がJB愛にあふれる熱いトークを繰り広げました。
トークは時折、かなりマニアックに脱線を繰り返しつつ、進行します。特に、映画にも登場するJBのバンドメンバーであり、丸屋さんが多大な影響を受けたブーツィー・コリンズとJBの関わりから、基本中の基本、JBの作り上げた音楽の何が特別であるのか?という点に2人は言及。
中田さんは、JBがブーツィーに語った「Where’s ONE?」(=一拍目はどこだ?)という言葉を紹介し「JBとは何者か? ファンクを作った人。ファンクって何? “The ONE”…すなわち一拍目のリズム!」と熱弁をふるい、4拍子の中の2拍目と4拍目を強調してきた、これまでの音楽と、1拍目と3拍目に重きを置くJBの音楽(ファンク)の決定的な違いについて語りました。
さらに話題は映画にも出てくるJBの周囲の人々に関するものに。まずはバンドメンバーの中でもJBの親友であり、映画でも重要な役割を果たすボビー・バード。中田さんは「JBが『ゲロッパ!』と言ったら、『ゲロゲロ』って歌う人です」と説明。刑務所にいたJBの保証人となり、彼を外の世界へ連れ出す“恩人”ですが、丸屋さんは2人の出会いについて「映画の中ではボビーが刑務所の慰問に訪れて出会ったことになってたけど、実は違ってて、刑務所チームとシャバチームによる野球大会があって、ボビーはシャバチームのリーダーでJBは刑務所チームにいたらしい」と説明。
JBによる各メンバーやバンドを統率するためのルールや人心掌握術もかなり独特だったそう! メンバーの演奏ミスや衣装の乱れなどに対して、常に“罰金制度”が敷かれていたが、中田さんは「JBが手を(ミスしたメンバーに向けて)広げるんですよ。1回なら5ドル。2回広げたら10ドル。スーツの背中にしわが入ってて50ドルとか(笑)。普通の人にはわかんないような演奏のミスなんですよ」と語り、こうした厳しい罰金制度がバンドの緊張感を生み、質の高い演奏につながったとのこと。
丸屋さんは「JBのバンドに入ると何が大変か? JBをずっと見てないといけないんです。一挙手一投足を見てないと、そこでいろんな(演奏に関する)指示が出るから」と説明。中田さんはこれを、JBが作り上げた新たな音楽スタイルゆえのもので「これまでのように決まった小節をやるのではなく、よりプリミティブに崩したから、サビの部分もどうなるのかが決まってないから」と語りました。
バンドの人数もギター、ベースだけでなく、ドラムまで複数人(多いときは同時に3人!)置くという、一見、意味不明なスタイルを採用しています。中田さん、丸屋さんはここにもJBの深い考えがあると推測。中田さんは、待遇や条件などでメンバーがごねて、急に欠けてしまう時のリスクヘッジとして複数のメンバーを置いたのでは?と分析。
丸屋さんはこうしたJBのバンド統治を「メンバー同士を反目させて団結させない。メンバーはJBとの神経戦に加え、メンバー同士でも戦わされる。大英帝国の統治と同じ方法」とうなずきました。
JBのこのマネージメント能力は、ビジネスの面でも大いに発揮され、当時のコンサート業界にも変革をもたらしたという。中田さんは「アーティスト」、「マネージャー(代理人)」、「ブッキングエージェント」、「プロモーター」、「劇場」に分かれて、それぞれに手数料が発生するシステムとなっていた当時のアメリカのコンサート業界の構造を図説で説明。
JBは、「マネージャー」と「ブッキングエージェント」の仕事を一つにまとめ、自分の“パートナー”として取り込み、さらに宣伝を担当する「プロモーター」を排し、代わりに自身の影響力を駆使して直接、各地のラジオ局のJBファンであるDJに売り込んで宣伝することで、余計な費用をかけずに興行を成功させたとJBによる“革命”の構図を明かす。自らの魅力を最大限に発揮し、人心を掌握する「人たらし術」として、中田さんも丸屋さんもその手腕に称賛を送っていました。
中田さんは最後に改めて映画、そしてJBという男について「歌手、ビジネスマン、ブラックパワーの推進力、ベトナムにも行った男、大統領にも会った男……2時間19分の映画の中にいろんな要素が詰め込まれています!」と語り、多彩なJB像を見ることができる作品になっているとアピール!
トークは予定をオーバーし1時間半にも及んだが、バーを訪れた客からも質問が飛び出すなど終始、盛り上がりを見せました。
『ジェームス・ブラウン~最高の魂を持つ男~』
好評公開中
©Universal Pictures ©D Stevens
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