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本郷猛復活記念『ウルトラマンVS仮面ライダー』記者会見記事(再編集版)

本日から公開された『平成ライダー対昭和ライダー 仮面ライダー大戦 feat.スーパー戦隊』で、本郷猛が復活! それを記念して、3年前にあるサイトに掲載した『ウルトラマンVS仮面ライダー』発売記念記者会見として行われた、黒部進さんと藤岡弘、さんの対談を再編集しました。

ウルトラマンVS仮面ライダー

●『ウルトラマンVS仮面ライダー』発売記念記者会見
日時:2011年6月24日
場所:バンダイ本社
登壇者:黒部進さん、藤岡弘、さん

ウルトラマンと仮面ライダー。

日本が誇る2大ヒーローを演じた黒部 進さんと藤岡 弘、さん。

『ウルトラマンVS仮面ライダー』のBlu-ray&DVDの発売を記念して、このお二人の初めてとなる2ショット公式記者会見がバンダイ本社で開催されました。

藤岡さんが「私にとっても今日は思い出深い日になりそうです」と挨拶されて始まったこの奇跡の2ショットによる記者会見では、たくさんのすばらしいお話しを聞くことができました。

ウルトラマンVS仮面ライダー

Q:放送当時、ご自身の出演された『ウルトラマン』、『仮面ライダー』をご覧になったときの感想はいかがだったでしょうか?

黒部さん:僕の場合は本編と特撮は別々に撮っていたので、それを観るのはアフレコのときだけでした。そしてウルトラマンを観たときには、こんなに巨大ですばらしいヒーローになっているんだと思いました。初めて観たときは「おぉ~!」という感激でしたね。

作品として観たときはなかなかストーリー性があって、子ども達を対象とする作品としてはとても誠意を持った作り方をしている作品だなと感じました。社会性を持った場面が多く組み込まれていて、子ども達を対象にそういうことを意識した話が多いような気がします。

そういったことがウルトラシリーズとして45年間続き、子ども達だけでなくて大人達にも支持されている要因かなと思います。

藤岡さん:私は仮面をかぶってライダースーツを着て始まりました。その姿で戦うわけですが動いてみたら窮屈で、仮面もまだ顔になじんでなく、視野も狭い。想像以上のプレッシャーで、不安と恐怖から始まった記憶があります。スーツはレザーだったのですが、アクションをやるとだんだん汗でしまってくるんです。またそこが不安になってくる。そういったことで恐怖との戦いから始まりました。

ただ一つ非常にうれしかったのは、鏡に映ったときの自分の姿。象徴的なマフラーが、「あぁかっこいいなぁ」という、自分のがこれをやるのかと思ったことを覚えています。

これまでやったことがない、すべてが初めての挑戦だったので様々な想いがよぎってました。

仮面ライダーは敵に改造される途中で逃げてという、孤独な悲しみを背負ったヒーローで、当初は暗いスタートという部分があるのですが、私はこの設定がほんとに好きでした。

自分自身もこれから人生に立ち向かう不安とプレッシャーも持っておりましたし、社会全体がショッカーのような感じもして、東京という大都会の恐ろしさに立ち向かっていく自分の心情と、誰にも話せない、孤独なヒーロー、それを背負ってこれから戦うんだという仮面ライダーが非常にオーバーラップしました。挑戦していく勇気を、自分の中で仮面ライダーに託しているというか。

見えない敵と戦うような、そういう自分の心のプレッシャーの中で、ショッカーという巨大な存在に対する戦いを挑む。そういうところに共通点があったのかなと思います。

ウルトラマンVS仮面ライダー

Q:黒部さんは『仮面ライダー』を、藤岡さんは『ウルトラマン』を観てそれぞれどう思われましたでしょうか?

黒部さん:藤岡さんの身体能力というのかな、これだけのアクションができるというのはすばらしいなという印象がいちばん強かったですね。

藤岡さん:ウルトラマンは子ども達に大人気で、すごい存在でしたね。観るたびに子ども達はとってこれはすごい夢の世界なんだろうなと思いました。

同じくヒーローを演じるということで、あの巨大な姿、爆発シーンやビルをぼんぼん倒していくのを観て、1回失敗したらたいへんだろうなと思ったり、失敗したら二度と同じことができないというのがたいへんなプレッシャーだろうなとか、ちょっと裏から覗き見するような感じで観ておりました。

黒部先輩の勇姿を観て、僕も早くがんばってヒーローとしての責任を果たしたいなっていう、そういう思いで観ていました。

黒部さん:先輩はやめてくださいよ(笑)

僕は変身するまでなので僕というよりもウルトラマンの中に入ってた古谷さん(*1)という方のヒーロー。あの方の力があっていうイメージ。これは僕はそうとう強いと思うんです。彼あってのウルトラマンというイメージが定着したんじゃないかと思いますけどね。

藤岡さん:私もあんな過酷な、すごいアクションが連日あって、撮影で追いつめられていくとは思わなかったので、ほんとに自分の身体能力というか、自分の体力を限界までというぐらいでした。あれがずっと続いてたらと想像するとぞっとしますね。

『仮面ライダー』は10話までは自分で演じましたけど、私の事故で10話以降はスタントマンの方が交代してくれてかえってよかったのかなと思います。もしかしたらあのまま続いてたら死んでたんじゃないかなというふうにも想像しますね。

黒部さん:仮面ライダーにしてもウルトラマンにしても、製作に携わってる人達の努力、真摯に作るべき姿勢があってこそこうして長く続く作品になったという部分があるんじゃないでしょうか。

藤岡さん:そうですね、当時は完成された状況の現場じゃなかったですね。機材もいまのようなすばらしい機材はなくても、スタッフのみなさんがほんとに苦労しながらこつこつと。

黒部さん:予算もなかったしねぇ。徹夜徹夜でねぇ。

藤岡さん:予算はないし、何から何まできりつめてやっていたような気がします。

ウルトラマンのみなさんもそうですよね。

黒部さん:そうだと思います。結局その努力が40年、45年続いてるってことは、ある種、遺産を残しているわけです。言ってみれば文化の遺産みたいなものをね。だからすばらしいメンバーと仕事をしたということになるんじゃないでしょうか。

藤岡さん:本当に苦労してましたね。CGもないし、ベースとなるものもないし。様々な完成されてない、まさしく手作業の面もあった。そういう意味では真剣な雰囲気が空気が流れていました。あの真剣さを思い出すといまでも体が震えますね。

*1:古谷 敏さん。『ウルトラセブン』のアマギ隊員役でも知られる。

ウルトラマンVS仮面ライダーQ:『ウルトラマン』、『仮面ライダー』ともに小林昭二さんが出ていらっしゃいますが、どんな方だったでしょうか?

黒部さん:あの方は新劇出身の方で、芝居に対する取り組み方がとても厳しい方でね。とてもまじめな方。芝居の中でキャップと呼ばれてましたが、撮影が終わった後でもキャップ、キャップと慕われてましたね。

芝居のいろはがわからなければそっと教えてくれる方で、たいへん僕らのメンバーにとっては貴重な方でした。そして、仕事を離れれば、一緒にけっこうお酒も飲みましたが、とても記憶に残るというか、懐かしいというか。

さっきも藤岡さんと話してたんですけど二人で小林さんの話をしていれば天国で何か感じてるんじゃないかなと。僕らにとってはよき先輩であり、よき先生であり、よき親父さんみたいな感じでした。

藤岡さん:まったく同感ですね。我々のところにきてたときもほんとに「おやっさん」というのがぴったりで。役名の「おやっさん」ではなく、ほんとに「おやっさん」でしたね。我々未熟な者に対してもほんとにやさしくアドバイスしてくれて、みんなの輪を非常にまとめてくれるというか。そういう面ではとても貴重な存在でした。

おやっさんがくると安心感があってね。場もなごんでくるし。

大先輩として、人格的にも紳士でしたしすばらしい方でした。またスタントマンのみなさんの苦労をよく知っていていたわってたし。スタントマンの方達たいへんでしたからね。いちばん苦労したショッカーのみなさんにも、みんなで一緒に作るんだっていう、そういう思いやりや気配り、気遣いが非常にできた人でした。

最初は先輩で怖いんじゃないかなって思っていたんですが逆でしたね。プレッシャーを取ってくれるようなほんとにやさしいおやっさん。「親父さん」じゃなくてほんとに「おやっさん」って感じでみんな「おやっさん、おやっさん」って呼んでました。

ウルトラマンVS仮面ライダーQ:いまなお続くウルトラマンシリーズ、仮面ライダーシリーズの魅力はなんだと思われますか?

黒部さん:子ども達の気持ちをつかんで離さないヒーロー像がそこに含まれていて、なおかつ同時に子ども達に人間というのはこうやって生きていくんだよっていうメッセージ性がたいへん含まれていて、言ってみれば、子ども達が成長していく過程の、ある教科書的な部分が示唆的に含まれていた作品だったんじゃないかという気がします。

子ども達に必要なものは、遊びもそうだけれど、自分のヒーローっていうのは男の成長の過程で絶対に必要だと思うんですよね。それをちゃんと子ども達に満足を与えてくれるのがウルトラマンとかヒーローということになるのかなと思います。それが40年、45年とこうして支持されている要因だと思います。

ですから、45年勝手に続いてるわけじゃなくて、いちばん大きな要素はファンがあっての45年ということで、ほんとに僕らはファンの方々に感謝感謝のみです。この先もぜひ、何年続くかわかりませんけども、ぜひともウルトラマン、仮面ライダーを支持していっていただきたいと思います。

藤岡さん:全世界100ヵ国以上歩きましたけど、どの国の子ども達もヒーローを求めてるんですね。どの国にもヒーローがいる。だからヒーローっていうのは子ども達にもかけがえのない存在であり、いまだにそのヒーローというのを探し求めてるというのがわかりました。仮面ライダーも全世界の子ども達に愛されてる感があります。そういった面でもヒーローはこれからも続々と出てほしいという願い。

仮面ライダーは善と悪が象徴的にわかりやすいドラマでした。そうした中で、自らが改造されて二度と人間に戻れないという大きなプレッシャー、最大のリスクを背負いながらも、かつ前に向かって生きていく。そして自分のことじゃなくて他者のために己を、自己犠牲の精神で。

これが子どもの心を、本心を揺さぶるんですね。子どもの心は純真ですから、本心に訴えかけていくというか。また、その時の思い出や感動が大人になってもいまだに体の中から離れない。すり込みで魂の奥底に残ってる。本心がそれを求めてるんでしょうね。

私は仮面ライダーと出会って、この出会いによって私の人生も変わり、いまこうやってみなさんのおかげで存在させていただいている。ほんとにこのことは感謝しております。

ウルトラマンVS仮面ライダー

Q:放送の当時は子どもたちにすごい人気があったと思うんですけど、実際の生活で子ども達から声援を受けたとか囲まれたとかそういったエピソードがあれば教えていただいたいのですが。

黒部さん:オンエア当時から今でも、子ども達のファンの気持ちがずっと続いてるんですよね。今でも電車に乗ってもサインを求められたり。それも子どもばかりじゃなくて大人の方もね。恥ずかしげに降り際で手帳出してきたりとか。

自宅はあれがハヤタさんが住んでるうちだというのがばれまして、子ども達が登下校時にちっちゃい紙を持ってきたり。ごくごく最近も3人の子ども達が並んでたりとか、そういう場面がいまでも45年間続いてるということは、ほんとにうれしく思っています。

藤岡さん:私もびっくりすることがありますね。海外で、アマゾンの奥地のある空港で、税関でもめてたんです。我々の持っていった撮影機材が問題だっていうんで。そこですっきり通らないからおかしいなと思って私がそこへ行ったら、私の顔を見た税関が「マスクドライダー!」って叫んだんですよね。私のほうがびっくりしましたね。

そうしたら全員が目が点になってもう作業を止めてしまってるんです。で、目がランランと輝いてるんです。2メートル近い大男たちがみんな子どもなんですね、目が。

そうしたとたんに飛び上がるごとく私を「マスクドライダー!」「マスクドライダー!」っていって手を取ってですね、もう「ノープロブレム!」「ノープロブレム!」って言ってそのまんま素通りになってしまって……それはどうかと思いますけどね(笑)。

もう感動して握手責めで抱きつかれるわ、もうたいへんな状況になりました。

いやぁほんとにそのヒーローというものは、演じた以上、一生それを背負っていくんだなと思います。でもこれはかえってよかったんじゃないかなと自分は思ってるんですけど。どうですかね?

黒部さん:まさしく、ヒーローを演じた方達が自分を律するといったことを背負っていくのはその人の運命なんでしょうね。そう思いますよ。

私も交通事故を気をつけるとか、飲酒運転はしないとか、離婚だけはするのをやめようとか。離婚したくてもガマンしてますから(笑)

何、ハヤタさん、奥さんと別れたんだってとか、事故起こしたり、飲酒運転した? なぐった? そういったことは絶対メディアに出るからね。そういうことは避けて生きていきたいと思うけどそれは事実ですよ。毎日たいへん窮屈な人生を送っているとご理解いただきたいと(一同笑)

ウルトラマンVS仮面ライダー

藤岡さん:ガマンすることは人一倍強いんですが、なんか子どもがどっかで観てるんじゃないかという気がして、そのへんで用を足そうと思っても、まずい、子どもがみてるんじゃないか?ってほんとにそのぐらいの気持ちでいるんですね。でもね、かえっていいことですよね。

私なんかも絶えず体を鍛え続けるのもそういうところにあるんだと思います。なんか子どもが見てるなと思うと、ついつい腕立てやったり、腹筋やったり、体鍛えたり、柔軟やったり……いまだにやってますね。

黒部さん:あなたたいへんだねぇ(笑)

藤岡さん:それが健康の源というか、かえってやらざるを得ないように追い込まれてる。

黒部さん:ちょっと仕事で裸になるシーンがあったりするとお腹出たところ見せられないですからね。なーにハヤタさん小太りしてたよとか言われてね。

藤岡さん:たとえば銭湯行ったり、温泉行ったりしたらそこで握手を求められたりしますからね。まあそういう意味ではヒーローになったというのはたいへんなリスクがありますね。

でもかえっていいんじゃないですかね。子どもの夢は育んでいかなきゃいけないという責任を背負っているのは確かです。

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