Vol.195 『貞子3D2』
スマ4D完成特別試写にて『貞子3D2』観賞。昨年15億円の興行収入を上げた『貞子3D』の続編。
今作では、スマホアプリと連動した“スマ4D”というシステムでの上映が目玉。この特別試写では上映前に角川書店の井上伸一郎社長がスティーブ・ジョブズ風にプレゼンテーションを行い、「3Dホラー映画を楽しむための究極のシステム」として紹介されました。
この試写を観に行った最大の理由は、このスマ4Dの初お披露目という点。映画上映中にスマホアプリをどのように連動させるのか? その効果は? そもそもどのようなアプリなのか?など、この新しい試みにとても興味がありました。前述のプレゼン内でも「劇場がお化け屋敷になる」と言われましたが、確かにその通りだったと思います。
スマホアプリはiOS版とAndroid版が用意されており、それぞれApp Store、Google Playからダウンロードできます。
→iOS版(5.0以上必要)ダウンロード
→Android版(2.3.3以上)ダウンロード
アプリをインストールしたら、『貞子3D2』公式サイトにあるスマ4D解説ページの予告動画で軽い体験をすることができます。アプリを起動し、予告を再生するとスマホがそれに連動して動作することがわかると思います。このテストをしたときに気づくべきでしたが、映画とアプリの連動自体はネット配信ではなく、音声認識の技術が用いられています。劇中の音に反応してアプリが動くわけですね。
今回の試写では周りの様子なども見ていましたが、機種による反応の違い、タイムラグなどが若干あるようでした。同じタイミングで一斉にというわけではなく、こっちで動いて、あっちで動いて、自分のが動いて……というような感じでした。また、そのギミックによっては発動しない仕掛けもあるようで、隣の人のは動いてるのに自分のスマホは動かないというようなこともありました。
スマホのフラッシュが一斉にたかれる動作があったのですが、私のスマホは動きませんでした……いや、そもそも私のスマホにはフラッシュ搭載されてないし(^_^;)
そういうハード側の性能ではなく、アプリの動作なのに動かないのがいくつかありました。映画が終わった直後、他の人には何かが届いたようなのですが、私には届きませんでした。iOSとAndroidの違いも若干あったようです。
アプリの動作としては、「劇中の電話が自分のスマホにかかってくる」とか、「スマホを通してスクリーンを観ると別の物が映る」とか、いろいろな種類が用意されています。「劇中の電話がかかってくる」というのはちょっとおもしろかったです。スクリーンに映っている登場人物と電話で話をしているようなイメージと言えばいいでしょうか。これは、シナリオを作り方によっては、いろいろな可能性が生まれるのではないかと思います。映画の世界と連動した、いわば双方向で楽しむものが作れたりするような気がします。
スマホ連動はいろいろな種類と書きましたが、ほんとにたくさん考えたんだろうなぁという想像ができます。その中で、これは使う、これは使わないという取捨選択をしたんだろうなぁと。観客を楽しませる、驚かすということで製作スタッフが苦労したことはひしひしと感じられました。
ただ、そのサービス精神がデメリットになっている部分も多少あります。まず、連動動作が多いということは、それだけ映画に集中できないということにつながります。呪いの動画で貞子化し、パニックが起こるシーンなどでそれに連動した動作があると、せっかく盛り上がっているシーンなのに、目がスクリーンとスマホを行ったり来たりしてしまう。どちらも見逃したくないのに、どちらも中途半端に観てる感じになってしまうのが残念でした。
また、映画のシーンと関係のない動作。スマホを使って驚かせるという目的で入れてあるんだと思いますが、その瞬間、現実に戻ってしまう感じがありました。せっかく映画を観ているのに、引き戻されるというか、興が冷めてしまうというか。「劇場がお化け屋敷になる」という意味では、ストーリーはなくてもいいのかも知れませんが、映画というより遊園地のアトラクション的な雰囲気になってしまうことがあったのがよかったのか悪かったのか。
新しいこのスマ4Dという試みを楽しみたい方はいいと思いますが、映画そのものを楽しみたいという方は通常の3D版を観るほうがいいかも知れません。スマ4Dという上映はおもしろいんですが、映画に完全に集中することは難しいので。
さて、映画のほうですが、今回は貞子ではなく、前作の主人公である茜と孝則の娘・凪の周りで起こる不可解な事件がメインとなります。前回、あれだけわらわらと出てきた貞子ですが、今回はおとなしかった感じですね。全体を通して、怖さや気持ち悪さというのも抑え気味な雰囲気。
これだったらホラーが苦手な方でも観られるんじゃないでしょうか。貞子というキャラクターが持つ、ゾクゾクするようなジワジワくる怖さというのは、前作の時点でほとんどなくなっていましたが、今作も同じようなイメージ。もう少し後になっても尾を引くような怖さを期待していたので、少々物足りなかったというのが素直な感想です。
物語としては、かなりうまくまとまっていますし、主役を務めた瀧本美織さんの恐怖を感じている表情などの演技がとてもうまく、観ている側にその怖いという気持ちが伝わってくるのがよかったです。この作品が映画初主演ということですが、この先がとても楽しみな女優さんですね。
『貞子3D2』は8月30日より、角川シネマ新宿ほか全国ロードショーです。あっ、一つ書き忘れました。スマ4Dで用いるアプリは、上映中ずっと起動したままになります。私のスマホは2年前の機種ですが、上映前92%だったバッテリが、終映後には50%になっていました。スマ4Dで観る場合には、充電状況を確認してからのほうがいいと思います。
©2013『貞子3D2』製作委員会
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コラム, ホラー・スプラッタ映画
2013/08/16 05:22 MOVIEW