Vol.194 『ワールド・ウォーZ』
TOHOシネマズ日劇1にて『ワールド・ウォーZ』観賞。ブラッド・ピット主演のパニック映画。
世界中で突然大流行した謎のウイルス。感染者はたった12秒で発病し、凶暴となり、見境なく周囲の人々を襲うようになる。Zと呼ばれる感染者は瞬く間に数を増やし、世界中の大都市は壊滅状態に。元国連調査員のジェリー(ブラッド・ピット)は、ワクチン作りのために最初の感染者のもとに赴くのだった……。
劇中でもZという呼称で呼ばれていますが、一口で言えばゾンビです。かまれて12秒でゾンビになるウイルスというのはいくらなんでもありえないと思うのですが、そのスピードによって、普通の日常生活が地獄絵図へと一変し、あっという間に街が壊滅する冒頭のシーンはなかなか迫力があります。
感染のスピードもさることながら、Zとなった途端の全力疾走の速いこと速いこと。それでいて、車のフロントガラスなんか頭突きで壊してしまう破壊力を持ち、ターゲットを襲うためには人間ピラミッドならぬゾンビピラミッドを作って、高い壁をも乗り越えていく。映画全体が“ゾンビの陸上競技会”と言っていいですね。
ただ、ゾンビが出てくるのに残虐な映像などは少なく、ホラーとかスプラッターというジャンルの映画ではありません。『バイオハザード』から超能力などのマンガチックな部分をなくした映画という感じでしょうか。『アイ・アム・レジェンド』で世界が死滅する部分を抜き出して映画にしたらこんな感じかも知れません。
もちろん途中には、突然でZが現れる、ドキッとさせるシーンもありますが、そんな怖いというものではないので、ホラー映画などが苦手な方でもだいじょうぶだとは思います。まあ、隣の座ってた方(知らない人ですが)はそういうシーンのたびに10cmくらい飛び上がってました……大げさすぎというか、そのリアクションで驚いてしまう感じでした。
この作品に関しては予告編をちらっと観たくらいで、ほとんど知識もなく観たわけですが、こういう映画だとは正直思っていませんでした。宣伝も「家族をとるか、世界をとるか」みたいなあおりで展開してますし、未知のウイルスで壊滅的になった街で、家族を守りつつ……というような映画だと思ってました。家族を安全な場所にいさせるために、任務に赴くという展開はあるものの、これはもう宣伝詐欺といっていいレベルですね。どうしてこう、その映画の本質ではないところで売ろうとするんですかねぇ。後々損すると思うんですが。
ワクチン云々の話も、序盤でいきなり終了という展開。『感染列島』のように、最初の感染者・感染源を探り、そこからウイルスについてや、防御策といった部分を深掘りしていったらおもしろかったと思うのですが……。逆に言うと、序盤で終了してしまう分、その先の展開がわからないとおもしろさはありますが。
この作品では2時間弱という上映時間にも関わらず、アメリカ東海岸から韓国、イスラエル、イギリスと、『007』のような展開となるので、とてもテンポがよく、次から次へと話が進んでいきます。こんなワールドワイドに展開するゾンビ映画はあまり聞いたことがないですね。
スピーディで迫力もあって、さらに初めて観るようなビジュアルもあり、映画としてはおもしろいと思いますが、話自体には新鮮味がないというのが欠点でしょうか。最近のゾンビものってこんなのばかりだなぁという感じ。全体的にいうと、きちんとゾンビ映画であることを認識した上で観るならいいんじゃないでしょうか。
ちなみに、今回時間が合わず、3Dでの鑑賞となりましたが、この作品は3Dである必要はほとんど感じませんでした。
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コラム, パニック・ディザスター映画
2013/08/14 23:52 MOVIEW