『はじまりのみち』加瀬亮、田中裕子ら登壇 完成披露試写会開催
加瀬亮 田中裕子 濱田岳 ユースケ・サンタマリア登壇!
『はじまりのみち』完成披露試写会 舞台挨拶
映画『はじまりのみち』の完成披露試写会舞台挨拶に、木下惠介を演じた加瀬亮、惠介の母役の田中裕子、そして濱田岳、ユースケ・サンタマリアといった豪華キャスト陣が登壇し、映画撮影秘話やエピソードなどを語りました。
また、特別ゲストとして、木下惠介監督の実弟にして、木下惠介作品の音楽を長年務めてこられた木下忠司氏も登壇し、記念すべき1日となりました。
実施日:5月23日(木)19:00~
場所:丸の内ピカデリー2
登壇者:加瀬亮、田中裕子、濱田岳、ユースケ・サンタマリア、原恵一監督
ゲスト:木下忠司(木下惠介の実弟)
MC:それでは、登壇者の皆さんからご挨拶をお願いします。
原監督:本日は大勢お集まり頂き、ありがとうございます。初めて実写に挑戦しました。あちこちで言っているのですが、良いものが出来ました。楽しんでいってください。
加瀬:こんにちは。今日は木下組ゆかりの方も来ていると聞いて緊張しています。よろしくお願いします。
田中:昨年の秋撮影でしたが、すでにもう初夏を迎えようとしています。
今日はお越し下さり、みなさんありがとうございます。
濱田:便利屋という役です。意外と出ています。楽しんでいってください。
ユースケ:(拍手がほとんどなく)俺の時は拍手ないんだ(笑) 今回、この映画館マリオン、2000席のところ、4800人の方にお越しいただいています。3階席まで一杯です。(全て冗談)変な空気になってしまいすみません。
うちの母は僕の仕事を全部喜んでくれるのだけど、普通に俺がやっている仕事とか抜きで、母に楽しんでもらえる映画に出られた事は、とても誇りだし、光栄です。いつもみたいにバカな事言っちゃいけないと自分を押えています(笑) 軽く鳥肌が立つぐらいのすごい映画です。楽しんでいってください。
MC:(原監督へ)本作を監督することになった経緯と、今回が初の実写映画ということで、実際に手がけられた感想をお聞かせいただけますでしょうか。
原監督:アニメーションのキャリアはそれなりだけど、実写は別物と思って臨みました。思った通り、やってみると仕事のやり方が全然違いました。一番困ったのは、アニメーションにはない、皆が一斉に同じ方向に向かって作業する事でした。日々、目の前のことをこなすので精いっぱい。尻にムチ入れられている感覚で無理やり走らされているような感覚でした(笑) そのおかげで良いものができたので感謝しています。
MC:(加瀬さんへ)木下惠介監督役を演じるにあたって、監督と話し合われたことはありますでしょうか。
加瀬さん:たくさん話し合いました。木下監督についてもあまり知らなかったので勉強する事から始めました。フィクションなので原監督に、似せる必要があるのかどうか話して、実際の監督のイメージは横に置いておいて、姿勢が伝われば良いという形で臨みました。
MC:共感する部分はありましたか?
加瀬:シンプルに話を聞くと、小さな美談に聞こえるが、これも監督と最初に話し合ったのですが、ただの美談にしたくない、人が立ち止まっている時だし、良い面ばかりではないだろうと。色んな葛藤の中、歩いていたのだろうと思います。自分の人生だけではなくて、誰もが当てはまるというのが映画に表れていれば良いなと願います。
MC:母親役の田中裕子さんとは初共演と伺っておりますが、共演されていかがでしたか。
加瀬さん:何か、僕がいうのはおこがましいです。一緒に芝居していて楽でした。楽というと語弊があるかもしれないけれど、向かい合って芝居をしているとこっちが何も準備していなくても自然と気持ちが流れてくるような感じでした。
MC:(田中さんへ)リヤカーでの移動や、横になっているなど体を動かさないシーンが多く、表情や小さな仕種で感情の表現をしなければならなかったのではないかと思います。苦労された点などはありますでしょうか。
田中さん:私にとってはとても贅沢な良い役でした。まず、セリフが少ない事(笑)。 リヤカーで男の子に引っ張ってもらって、リヤカーから見た風景は今までに見た事のないものでした。大きな木や、空の雲、風、夜の月、格別な景色を見せて頂き、この上なく有難かったです。
MC:2人の息子役の加瀬さん、ユースケさんとの共演はいかがでしたか。
田中さん:二人ともとってもハニカミ屋さん。ハニカんでる顔がとってもかわいかったです。お兄さんのユースケさんは、色々な所で細やかに心砕いてくれて、その場を楽しくしてくれました。とても居心地が良くて退屈しなかったです。加瀬さんは、顔を見ていると、自然に笑えるし、泣いてるとこちらも泣いてしまう。体現されている静けさにひたらせてもらうのは、とても居心地が良かったです。
MC:(濱田さんへ)原監督のアニメ作品『河童のクゥと夏休み』がお好きだと聞きました。今回、原監督とご一緒されていかがでしたか。
濱田さん:素直に嬉しかったです。監督から便利屋役の画コンテ見せてもらった時は嬉しくて持って帰りました。便利屋がものすごい身体能力だったので、監督と便利屋ってカッパのクゥ(原監督の作品のキャラクター)じゃないかという話をしていて、後半はカッパの気持ちでやってました(笑)
MC:加瀬さん、ユースケさんとの3人の掛け合いのシーンが印象的でした。実際の撮影現場での3人の雰囲気はどうでしたか? どのような話をされていたのでしょうか?
濱田さん:とっても楽しくて、一番下っ端だけどいやすかったし、毎シーン勉強になりました。みんな気さくに話してくれて楽しかったです。
MC:(ユースケさんへ)本作はオールロケで、過酷な撮影スケジュールだったと聞いています。雨に打たれるシーンなどもありましたが、かなり大変だったのではないですか?
ユースケさん:業界一のタフガイと巷で言われている僕ですが、くじけかけました(笑) 極寒のすさまじい寒さの中、ペラッとした服でやったのでとにかく寒かったです。雨降らしのシーンでは、何回も降版しようかと思いました。でも、プロなんだ! 田中さんもいるし!と思ってやり切りました。今になっては、良い思い出です。
MC:加瀬さんと実際共演されていかがでしたか?
ユースケさん:同じ系統のしょうゆ顔だと思っていたので、兄弟役行けるだろうとおもっていたのですが、初日に自分の顔面を見てやばいなと思いました。最後のシーンは映像で見てちゃんと兄弟に見えていたので良かったです。
MC:(皆さんへ)木下惠介監督は、抒情的な作品から、コメディ、社会派作品など、実に多様な作品を世に送り出しました。また日本初のカラー映画や全編を斜めに撮影するなど、革新的なアイディアと技術を取り入れた挑戦者でもありました。皆さんが、今後挑戦したいことがあれば、是非教えてください。
原監督:僕にとっては今回の映画がかなりの挑戦でした。木下監督の色々な面をパン、パンと見せたくて。『二十四の瞳』のような叙情的なイメージが強いが、実はロックでパンクな人だったのだとそういう面を見て欲しいです。出演者の方々もおとなしく見えて、実はロックでパンクな人たち、一人ラテンロックもいますが(笑)(ユースケさんのこと)。ぬるいもの作ったら承知しないぞ!という圧を感じながらでした。おかげで良いものができました。
加瀬:原監督のように挑戦している人が好きですね。よく挑戦されている方とご一緒させて頂くのですが、自分自身家でゴロゴロしているのが好きです。様々な役に挑戦していきたいです。
田中:ロックなおばあちゃんになりたいです(笑)
濱田:今回はクゥの気持ちでやったので、後はクレヨンしんちゃんのように、突発的にお尻を出すことに挑戦したいです。
ユースケ:今回初実写で原監督は評判になるはず。その一作目に出させてもらったので、今後もずっと何らかの形で原監督の作品には出続けたいです。監督のそういう存在になりたいです(笑) お願いします!
MC:ありがとうございました。さて、本日は「はじまりのみち」の完成披露試写会ということで、木下監督に縁のこの方がお祝いに駆けつけてくださいました。木下惠介監督の弟さんで、作曲家の木下忠司さんです。皆様、拍手でお迎えください。
本日はようこそお越し頂きました。ありがとうございます。では、木下惠介役を演じられた加瀬さんに代表して花束を受け取って頂きます。
MC:ありがとうございます。木下忠司さんは『わが恋せし乙女』から、遺作『父』までの、木下監督のほとんどの作品の音楽を手掛けられた他、TVドラマ「水戸黄門」の音楽も木下忠司さんが作曲されました。一言ご挨拶をお願いできますでしょうか。
木下忠司さん:原監督の作る惠介の話をとても期待しています。僕も疎開をしていたからこのエピソードはうっすらと知っていました。この山を登っているときはちょうど軍隊に行っていたが、疎開先の人々は非常に暖かかったです。この映画もぜひ疎開先の人々にもみてもらいたいです。97歳の僕があんまり喋るのもなんなので、よろしく。
この写真(映画)を愛して下さい。
加瀬:お会いできて大変うれしく思います。実際の監督をよく知っていらっしゃるので映画をどうご覧いただけるか若干不安ですが、キャスト、スタッフ心を入れて作った作品です。楽しんでみて頂ければ幸いです。
MC:では、最後に原監督から代表してこれからご覧になる皆さんに一言メッセージをお願いします。
原監督:この作品が、少しでも木下監督の見方が変わるキッカケになればと思っています。もちろん、新しい作品としても楽しんで頂けたら、ただの美談ではなく、木下監督の過激な面が伝われば良いなと思います。
©2013「はじまりのみち」製作委員会
『はじまりのみち』
6月1日(土)全国ロードショー
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2013/05/24 04:30 MOVIEW