Vol.180 『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』
TOHOシネマズ六本木ヒルズにて『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』を観賞。15年にわたって製作されてきた『踊る大捜査線』シリーズの最終作。
TVドラマからリアルタイムで観てきたシリーズだけに、最後と言われると少しさみしい気もしますが、ずるずると続いてしまうよりきちんとした結末を作って終わらせるほうが作品としてはきちんと締まるしいいのではないかと思います。実はこれまでの劇場版は1作品も映画館で観たことがありません。TVドラマからスタートした作品は、スクリーンよりもテレビサイズのほうがしっくりくる感じがして……。まあ、最後くらいはということで映画館に足を運びました。
もちろん興味は「どう決着をつけるのか?」です。警察という組織の中でのキャリアとノンキャリアの壁をとっぱらうという室井と青島の約束はどうなるのか? ここまでひっぱってきて、その話の決着をつけないで終わることはできないでしょう。ただ、この難しいテーマがそう簡単に解決するわけもなく、最後は少し強引なまとめ方というか、そんな都合よくいかないと思うけどなぁという印象は持ちました。
サブタイトルの「新たなる希望」が示すように、この作品が一つのターニングポイントとなって、この後の物語に続くという作り方ではあるなと思います。もちろん最終作ですから、この後の話は観た人それぞれの想像にまかせるという形ですね。
これで終わらないんでしょ?という人もいますが、私は『踊る』シリーズはここで終了だと感じました。この『踊る』という言葉は『踊る大紐育』からとったものだということを、確かプロデューサーが言っていたような気がするんですが、個人的には『会議は踊る』をひっかけたタイトルなのではないかと想像しています。
ナポレオン失脚後、その後処理を話し合う場としてヨーロッパ各国の首脳が集まるウィーン会議は空転するばかりで遅々として進まない。その間に流刑地からナポレオンが脱出し、各国首脳は会議を投げ出し祖国へ帰っていく……。警察のお偉いさんたちが保身のことしか考えていない会議室の状況はまさにこのウィーン会議であり、この作品はそうした部分で『踊る』なのだと思います。そう考えたとき、この作品で『踊る』は終了というのがいちばんしっくりくるんですよね。
もしこの続きを作るとしたら、それはもう『踊る』シリーズではなく、登場人物が同じの別のシリーズになるのではないかと想像します。だから『踊る』シリーズはここで終わりと。
さて、今作も湾岸署のおなじみのメンバーが大活躍するわけですが、どうもキャリア側の登場人物の描かれ方に重点が置かれているなという気がしました。その分、少々重い雰囲気が漂っていたと思います。その中で両者の間にいる人物として描かれたのが真下署長であり、今回のキーにもなっていた印象があります。
キャリアとノンキャリアの壁というテーマに対する答が真下の「青島先輩、ありがとう」というセリフにこめられている、そんな気がするのです。いまや部下である青島に対して先輩と呼びかけた真下。なんだかこのシーン、すごくうれしく感じました。
全体的にはこのシリーズの平常運転という感じもしましたが、笑いあり、アクションあり、かけあいありと、いつもの『踊る大捜査線』を安心して観られる。そういう最終作になっていました。
『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』は現在全国にて大ヒット上映中です。
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コラム, 刑事・警察映画
2012/09/27 04:19 MOVIEW