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『トスカーナの贋作』ジュリエット・ビノシュ&『誰も知らない』是枝裕和監督記者会見

第63回 カンヌ国際映画祭 主演女優賞受賞(ジュリエット・ビノシュ)
アッバス・キアロスタミ最新作
『トスカーナの贋作』
最新作『トスカーナの贋作』でカンヌ国際映画祭主演女優賞を受賞したジュリエット・ビノシュ(仏・女優)と、『誰も知らない』などで知られ、ビノシュのファンでもある是枝裕和(映画監督)との3時間ぶっ通しのトークショー「劇的3時間SHOW」にて記者会見が行われました。


記者:先ほどビノシュさんが是枝監督の映画は、人間味に溢れていて素晴らしいと仰っていたんですが、具体的に心に残っている作品がありましたら、お教えください。
是枝監督には、ビノシュさんがこれまで出演された作品の中で、心に残っているモノがありましたら、お教えください。
ビノシュ:私は『誰も知らない』、『歩いても、歩いても』『空気人形』、の三作品を見ていますが、どの作品にもそのカット毎に“人間”というものの真実を見ることができたので、全部印象に残っています。“現代社会に生きる人々の人間性や人間関係の複雑さ”という扱いづらいテーマを、自己陶酔に陥ることなく謙虚に描く監督だと感じています。
なので、私は今後、是枝監督と何か作品を一緒に作れたらな、と思っています。
是枝:例えばね、子供の頃に好きなアイドルのポスターを貼ってたとして、今、その人が隣に居て、その人が自分の映画を見て、自分の映画についての話をしてくれている。もう本当にどうすればいいんだろうっていう感じです。20代でこの“映画”っていうものをやりたいな。と思いつつも、まだ一歩踏み出せないでいた時に、『汚れた血』という作品で僕は初めてビノシュさんとスクリーン越しにお会いしたんですけれども。そこでのビノシュさんに非常に強い衝撃を受けて。自分のデビュー作を撮る時に、その『汚れた血』という作品を意識して撮っていました。僕も彼女と何かの形で作品をやりたいんですけど、そうすると彼女がこれまでタッグを組んできた監督たちと戦わないといけないなぁと思ってます。
記者:あなた(ビノシュ)は早い時期から色々な国の監督の作品に出演していますけれど、普通の女優さんなら怖がってしまうのに、あなたは自身のイメージが壊れることを恐れることなく飛び込んでいけるのは何故でしょうか?
また、新作『トスカーナの贋作』で名前のない女性を演じてらっしゃいますが、名前のない女性をどうやって演じましたか?
ビノシュ:まず、イメージというのは私が作るものではなく、私の行動(女優としての活動)から観る側の人々によって作られていくものだと思うので、自分自身ではどうしようもないものだからそれは皆さんが見たいように見るべきだと思います。
『トスカーナの贋作』で演じた役は、キアロスタミ監督が言うには“アダムとイブ”のようなもので、だから私が演じた役は「女というものはこうである」という風な“女”というものの象徴だったんです。だから、名前がなくても平気でした。
記者:是枝監督が映画作りに置いて、曲げたくないものはなんでしょうか?
是枝:「柔軟である」という事だと思います。脚本に書いていても、現場と役者を見て、その場で脚本を捨てて変更していける柔軟性というのをいつも大事にしています。本当は脚本は現場に持って行かないで作れるっていう状況が、一番良いと思います。“自由に”、“フラットに”って所を一番大事にしています。
〔1月28日(金)、スパイラル ホールにて〕
●『トスカーナの贋作』
第63回 カンヌ国際映画祭 主演女優賞受賞(ジュリエット・ビノシュ)
アッバス・キアロスタミ最新作
『トスカーナの贋作』

『桜桃の味』でカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞したアッバス・キアロスタミの最新作『トスカーナの贋作』の劇場公開が2011年2月19日にユーロスペースにて決定しました。
アッバス・キアロスタミが初めてイラン国外で撮影した長篇劇映画である本作は、キアロスタミ式“イタリア旅行”とも言うべきラブ・ストーリーとなっております。魔術的とも言える会話劇はまさに真骨頂です。“妻”役を演じたジュリエット・ビノシュは本作で初のカンヌ映画祭女優賞を受賞しました。
アッバス・キアロスタミ監督
テヘランに生まれ、テヘラン大学芸術学部で学ぶ。1970年より映画監督の道に入り、現代イラン映画を代表する多くの作品を撮影。1997年には『桜桃の味』でカンヌ国際映画祭・パルムドールを、1999年には『風が吹くまま』でヴェネツィア国際映画祭・審査員賞などを受賞した他、映画祭での受賞作品は数多い。
●ストーリー
イタリア、南トスカーナ地方の小さな村。講演を終えたばかりのイギリスの作家がギャラリーを経営しているフランス人女性に出会う。芸術におけるオリジナルとコピーの問題について議論を戦わせた二人は、カフェの女主人が二人を夫婦だと勘違いしたのをきっかけに、あたかも夫婦の “コピー”であるかのように、ある時は仲睦まじく、ある時は言い争いつつ、車で村をめぐり始める。彼らがゲームのように楽しんできた関係は、時間を経るにしたがって次第に変化していき、彼らの心のなかにはさざ波が広がっていった・・・。
監督・脚本:アッバス・キアロスタミ
出演:ジュリエット・ビノシュ、ウィリアム・シメル
2010年、フランス・イタリア合作映画
英語、フランス語、イタリア語
原題:Copie Conforme
英題:Certified Copy
106分/35mm/カラー作品/1.85:1ドルビーSRD
字幕翻訳:石田泰子
配給:ユーロスペース
© Laurent Thurin
『トスカーナの贋作』
2011年2月19日より、ユーロスペース他にて 心ざわめくロードショー!
※当記事内の写真は当サイト掲載用に正式に提供された画像です
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