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Vol.86 『エイリアン』

エイリアン 新生アルティメット・エディション観賞映画振り返りコラムの33回目は『エイリアン』。この作品は1979年に公開されたのですがその時は見逃しており、1980年に大塚名画座で弟と従兄弟と3人で観ました。
宇宙では、あなたの悲鳴は誰にも聞こえない--というコピーが示す通り、宇宙を舞台にしたモンスターホラーというべきでしょうか。それまでのSF映画やホラー映画とは一線を画したストーリーが秀逸でしたね。


全滅した異星人の宇宙船にずらりと並ぶ不気味な卵。その卵から孵ったエイリアンの幼体フェイスハガーにとりつかれる乗組員。フェイスハガーははがれるも、体の中で育ったエイリアンが腹を食い破って出現。その後、成体となったエイリアンに襲われ、一人、また一人と減っていく乗組員……。
舞台を貨物船ノストロモ号という限定された空間にしているおかげで、狭く無機質な背景がよりいっそう恐怖感をあおります。また、H.R.ギーガーがデザインしたこれまでみたことがない生物というのもとても不気味でしたし、その姿がなかなか現れず、徐々にその姿が明らかになっていく過程が、SF映画でありながらホラー映画の王道をいく形となっていました。
薄暗い船内、スモーク漂う空間、どこからともなく現れて乗組員を殺害するエイリアン……リドリー・スコットが得意とする画が全編にわたって楽しめる作品です。この後も何本かリドリー・スコットの映画は観ましたが、どれもこのような演出が施されていることを考えると、そういう画が好きなんでしょうね。
この作品の本当の怖さは、実はエイリアンではなく、人間の欲望だったりします。人類が初めて出会った他の天体の生物。それがどんなに危険な生物であったとしても、乗組員の生命に関わるような生物であったとしても、それを確保し、利権につなげたいと考える者がいる。生命をおびやかすエイリアンよりもその考えのほうがさらに危険で、人の命を命とも思わないような存在があることがこの映画の本当の恐怖でした。
この映画でその知名度をあげることになるシガニー・ウィーバーですが、いま観ると若いですよねぇ。この映画のせいで「シガニー・ウィーバー=リプリー」というイメージが定着してしまったのはよかったのか悪かったのか……。他の出演作品を観てもリプリーのイメージがつきまとっている気がします。
さきほど秀逸と書いたストーリーはダン・オバノンの原案・脚本によるもの。昨年の暮れに亡くなったオバノンですが、ジョン・カーペンターと撮った『ダークスター』や、『トータルリコール』などで知られる方で、63歳という、まだまだこれからがあるのにという年で亡くなったのがとても残念です。
シリーズとしては4本、そのほか『エイリアンVSプレデター』などのスピンオフ作品などに出てくるエイリアンですが、そのクリーチャーとしての魅力がもっとも出ているのはこの第1作だと思います。2作目以降は強いモンスターではありますが、その恐怖を感じられるのは本作がいちばんだと思います。
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おすすめ平均
starsMovie: 4/5 Picture Quality: 3.5 4/5 Sound Quality: 3.75 4/5 Extras:
stars糖尿病の人ゴメンナサイ

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