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Vol.75 『007/ムーンレイカー』

007/ムーンレイカー観賞映画振り返りコラムの25回目は1979年公開の『007/ムーンレイカー』。江東リッツで観賞。
SFブームまっただ中の映画界において、007もついに宇宙に進出! 前作の『007/私を愛したスパイ』がおもしろかったので、さらにスケールアップした007が観られるのかとワクワクしながら観に行った記憶があります。が、冒頭から、えぇっ?というシーン。これだけで一瞬にして醒めてしまった……。


映画はあくまでフィクションです。そんなこと現実にないだろうというようなシーンはたくさん出てきますが、007シリーズのいいところは、ひょっとしてあるかも?と思わせるリアリティだと私は思っています。数々の秘密兵器にしてもボンドカーにしても、いまは無理でも近い将来、実現するかも知れないと思わせる説得力があったり、そこに夢があったりします。
ところがこの作品の冒頭のスペースシャトル強奪シーンは観た瞬間つっこみをいれたくなります。ジャンボジェットで輸送中のシャトルに乗り込んでそこから発進。シャトルのブースターの炎で輸送機が爆発炎上する……うーん、スペースシャトルはそういう形で飛べませんから(^_^;)
このときはまだ実際のスペースシャトルが宇宙へ行っていない時期ではありましたが、飛行機の背中に積んで輸送するという絵は公表されていました。それはなぜかといえばシャトル単体で飛べないからそういう輸送するのであって、自力で飛べるなら飛んでいけば済む話。いくらフィクションとはいえ、最初からまったくあり得ない映像ってねぇ……。
同じような理由で後年の作品『アルマゲドン』も宇宙のシーンになると醒めちゃうんですよねぇ。宇宙空間で戦闘機のように隕石をよけながら飛べる能力はスペースシャトルにはないわけで……。
もちろん007映画ですから、アクションシーンあり、秘密兵器あり、様々な国でのロケありと、いろいろ趣向を凝らした映画になっています。特に、オープニングのパラシュートなしでのスカイダイビングは迫力満点。1回のダイビングで撮れる映像がものすごく短くて、このシーンだけでかなりの時間を使ったそうです。
また、前作で敵として登場したジョーズが再登場というのも1つの話題でしたね。同じ敵が出てきたことはこれまでなかったですし、ジョーズのキャラクター自体、魅力的でしたし……が、これもこういうキャラじゃないよなぁという感じでしたねぇ。その強さでボンドを思い切り追いつめてくれないと……。
ベニスのゴンドラのチェイスシーンはなかなかよかったですが、最終的にホバークラフトになる必要はあったのかどうかとか、クライマックスの宇宙のシーンにしても、そんな簡単に行けちゃうわけ?とか、戦い自体もなんか拍子抜けな感じがあり、とにかくつっこみどころ満載でした。そもそもSFブームとはいえ、ジェームズ・ボンドを宇宙に行かせる必要があるとも思えませんし。
ジェームズ・ボンドがロジャー・ムーアになってからコメディ色が強くなったとは感じていましたが、この作品はちょっとやりすぎでしょう。少なくともスパイ映画というサスペンスにおけるハラハラ感というのが感じられません。ここでボンドががんばらなかったら世界が危ない!みたいな緊張感がないというか……。
個人的な評価としては、シリーズの中で番外編的なイメージの強い作品でした。
→『ジェームズ・ボンド』の記事を探す
→ロジャー・ムーアの記事を探す


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