Vol.23 『大決戦!超ウルトラ8兄弟』
TOHOシネマズ錦糸町にて『大決戦!超ウルトラ8兄弟』観賞。前作の『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』はDVDで観たのですが、今回はウルトラマンティガが主役ということで劇場で観ることにしました。
今作の目玉はなんといっても平成ウルトラマンと昭和ウルトラマンの共演につきると思います。ウルトラマンの初放映から40年以上が経過した今でも続くシリーズということを考えると、特定の年齢以上の方を除けば、ほぼ日本人共通の記憶となっているわけで、昭和・平成を共演させることで幅広い年齢層にアプローチできる作品です。
唯一心配だったのは、同じシリーズとはいえ、世界観が違うキャラクターを登場させることでストーリーが破綻するのではないかということでしたが、シナリオがうまくできていて、そのようなことはありませんでした。ただ、異なる世界観を束ねるために新しい設定を用意しなければならず、当然のことながらその説明をする部分が必要になるわけで、子ども達にはその部分が難しかったのではないかなという気はしました。
作品としては、登場するウルトラマン役の俳優およびヒロインが全員出演したり、これまでのウルトラシリーズを観てきた人にはうれしい仕掛けやエピソード、セリフ、脇役などが多数用意されており、そういったものを探しながら観るのもいいかも知れません。
個人的には『帰ってきたウルトラマン』の途中、ヒロインであるアキが死ぬシーンを振り返るかのような郷秀樹の「俺はアキを守れなかった」というセリフに、「だから今度は……」というような決意が感じられてとてもよかったです。放送当時、ヒロインの死というのはかなりショッキングな出来事だったので、それがいまようやくリセットされたというところでしょうか。
最初にも書きましたが、今回はウルトラマンティガが主役。TVシリーズの『ウルトラマンティガ』はこのシリーズ屈指の名作。最終回はほんとに感動しました。ただ今作は、そこまでの感動にはいたらなかった感じ。もちろんダイゴがティガに変身する下りはとてもいいシーンでしたが、やはりこれだけウルトラマンが出ているとティガに話が集約されるわけではないので、ティガの映画としては『ウルトラマンティガ THE FINAL ODYSSEY』のほうがよかったかも知れません。
映像はもちろん昨今のウルトラシリーズ同様CGが多用されています。前作『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』のCGがちょっと浮きすぎ&板野サーカスばりばりで動きが速すぎてよくわからなかったので、今作もそうなってなければいいけどと思っていたのですが、わりとよくなじんでましたね。昭和40年代の横浜の再現はなかなかでした。
ただ……ギガキマイラのCGはちょっといただけなかった。身長500m以上、体長700m以上という巨体は、ウルトラマンの大きさとの比較だけでは無理ですよねぇ。実写映画にCGを使うというのは、そこにリアルな映像をはめこむ方法として使うわけで、リアリティが感じられないとゲーム画面みたいになってしまいます。これだけの大きさなのに、全体にピントが合うということは実際に撮影した映像ではありえません。CGの最大の欠点は、こうした空間的遠近法の表現が難しいことだと私は考えています。それがきちんとできないとただ絵が動いているだけになっちゃうんですよねぇ。
もう1点残念だったのは、戦いが終わって8人が横浜の港に帰ってくるシーン。ハヤタからミライまでの歴代ウルトラマン俳優が一列に並んで堂々と歩いてくる姿はものすごくかっこいいし、この映画の中でまさに観たかったシーンです。が、バックにあるベイブリッジ、怪獣との戦いのシーンで壊されたはずなのに、たくさんの車が行き交っています。昭和40年代の街や、ダイゴがイメージする廃墟と化した横浜の映像がすばらしかっただけに、話のつながりから考えると橋が落ちている映像にしてほしかった……。
ともあれ、ストーリーとしても映像としてもかなり楽しめますし、大人から子どもまで一緒になって楽しむことができる映画だったと思います。
コラム, 特撮映画
2008/09/15 04:58 MOVIEW