Vol.11 『バイオハザードIII』
完成披露試写会にて『バイオハザードIII』観賞。ゲームからスピンオフしたSFアクション映画の第3弾。研究所からもれたT-ウィルスによってアンデッド(ゾンビ)化した人間により、壊滅寸前で残りわずかとなった人類と、砂漠化した地球。そうした過酷な環境の中、生き残った人類とアンデッドたち、人類の存亡をかけた最後の戦いが始まる……。
第1作からのヒロイン・アリスの秘められた力、T-ウィルスをばらまいてしまったアンブレラ社が進める「アリス計画」、アリス計画の成果(?)で進化したスーパーアンデッド、アンデッドの肉をついばんだためにアンデッド化した大量のアンデッドカラス、さらに最強クラスのアンデッドであるタイラントの登場……研究所から砂漠化したラスベガスに舞台を移し、ノンストップのアクションムービーとなっていて、最後まであっという間に終わってしまう感じです。
逆にこれでもかこれでもかというシーンの連続のために、ちょっとメリハリがないのが効果を薄くしてしまっているかも知れません。こういう映画は、緩急をつけてちょっとほっとしたところにドン!とぶつけることで、観客により強い衝撃を与えるのがセオリー。ピークがずっと続いてしまうと観ている側が慣れてしまいますからね。
今回の監督はラッセル・マルケイ。そう言われると確かにという画面ではありましたが、この監督はカメラワークと光の使い方がすごくおもしろいと私は思っています。マルケイ作品の『ハイランダー』はすばらしかったですね。光と影の描写、激しいアクション、それを盛り上げるクイーンの曲……。今回は砂漠が舞台ということで、持ち味がちょっと出せなかった感じはありますが、テンポのいいカットワークなどは健在というところでしょうか。
こういうシリーズは、シリーズが進む連れて敵が強くなっていくわけですが、ヒッチコックの『鳥』を彷彿とさせるようなアンデッドカラスの襲撃シーンや、知能とスピードをもったスーパーアンデッドなど、もうしぶんない感じでした。昔ゾンビ映画が流行った頃に「走るゾンビがいたら笑うよな」なんて話をしていたことがありますが、今回、走ります(^_^;)
『バタリアン』というゾンビ映画で走ったときには大笑いしました(というかゾンビ映画でありながらコメディ映画でもあったので)が、今回の走るゾンビは笑えないですね。迫力があるというか、鬼気迫るものがあるというか。
さらにその上をいく、再生能力までゆうしたタイラントの登場で、この映画はクライマックスを迎えることになります。ちょっと登場シーンが短いかなぁ。でもこのタイラントのデザインをみると、今回クリーチャーデザインを担当したタトポロスらしいなぁと感じますね。
『インデペンデンス・デイ』の宇宙人やアメリカ版『GODZILLA』のデザインをした方なんですが、立体に合わせた絶妙なぼかし塗装とぬめり感。こういうデザインをさせたら天下一品。以前はクリス・ウェイラスの独壇場でしたが、いつのまにかタトポロスのほうがメジャーになってしまいましたかね。
それはともかく、撃ちまくって、なぎ倒して、切り刻んで……観終わった後の爽快感はある作品でした……が、最後のシーンだけちょっとなぁ……あれは日本じゃないよ……。
『バイオハザードIII』は11月3日から公開です。
このコラムは2007/9/29にゴルフブログ「振り向けばカジュアルウォーターIII」に掲載されたものです。
コラム, ホラー・スプラッタ映画
2007/09/29 00:00 MOVIEW