Vol.7 『ワンピース エピソードオブアラバスタ 砂漠の王女と海賊たち』
『ワンピース エピソードオブアラバスタ 砂漠の王女と海賊たち』を観賞。人気コミックのアニメ化作品で、劇場版としては8作目。通常はオリジナルストーリーによる長編ですが、今回は原作から人気の高いエピソードを抜粋しているということで、どうまとめているかが気になって劇場観賞としました。
基本的にはかなりきびしいという感想ですね。よくまあ1時間半で話としてつながるように仕上げたなという印象。そもそもテレビシリーズで2クールにもわたったエピソードをこの尺に入れるということ自体、かなり無理があるわけで、当然、その世界観やバックグラウンドを説明しきれるはずもなく、原作やアニメを観ている人以外にはわからないだろうなぁという感じ。
『踊る大捜査線 THE MOVIE』を観たときも思ったのですが、テレビシリーズなどを映画化する場合、それまでの世界観を映画の尺の中で説明しつつ、新しい話を展開するというのはかなり難しいですよね。テレビを観たという前提で割り切らないときついというか。でもそうすると観たことがない人を切り捨てなくてはならず、興行的な心配が出てくる……。そのさじ加減次第で、作品の出来が決まってしまいますね。
まあそれはともかく、話としては元々よくできているストーリーですし、感動する話ではあるのですが、いかんせん時間がないためにそこへ感情をもっていきづらいという難点があります。各キャラクターのエピソードで徐々に盛り上がっていって、ラストの対決シーンにつながっていくわけですが、その盛り上げ部分が駆け足のせいで、描き切れていないという印象を受けます。
劇場版ならではの演出方法や、描き込みという点は当然評価しなくてはならないでしょうが、ところどころひどい絵があり、そのへんは減点かなと。これ誰?というキャラクターが並んでいるシーンもあったり……時間がなかったのか、作画監督のチェックミスなのかわかりませんが、ちょっとクォリティが低いなと思うシーンがいくつかありました。
とりあえず原作やテレビアニメ版が好きな方ならという感じですかね。
このコラムは2007/3/11にゴルフブログ「振り向けばカジュアルウォーターIII」に掲載されたものです。
コラム, 劇場版アニメ・イベント上映
2007/03/11 00:00 MOVIEW