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Vol.2 『日本沈没』

久々の編集後記は前回と同じく映画の話。映画というとストーリーをだらだら書いて、それに対してコメントする人が多いですが、私のコラムでは基本的にストーリーには触れません。小学生の読書感想文みたいなこと書いても仕方ないですからね。
日本沈没さて、遅ればせながら『日本沈没』観賞。リアル世代でありながら、小説・旧作(映画、TV)はいっさい観たことがなく、まったくの新作として楽しみました。旧作は1970年代の映画なわけですが、あの頃の邦画の特撮はミニチュアが怪獣映画なみで、子供ながらにまったく食指が動かなかったんですよね。


逆にいまはというとCGがばればれのVFXが多いので、それはそれで興醒めしてしまうのですが、今作はなかなかのできばえでした。樋口さんの手がけた映画は見応えのあるVFXが多いですね。『CASSHERN』のように、コンテのつながりがわかりにくく、観ていて疲れる作品もありますが(^_^;)
やはりCGだけではなく、実写、ミニチュアなどを組み合わせているのが勝因でしょうか。CGだけだとどうしても質感が違うというか、映像から浮いて見えてしまいます。
ただ、映像はリアルで迫力はあるんですけど、そこに緊迫感が感じられないんですよね。これがすごく残念。主人公である草なぎ剛だけ別世界にいるようにまったく被災しない(オープニングで予兆となる地震に見舞われますが)というのもありますが、なんていうか、すっごい災害が起きて、そこで大勢の人が被災している緊張感がないんです。
モブシーンがあって、逃げまどう人達は出てくるんですが、何か必死な感じが伝わってきません。これはたぶん実体験として、阪神大震災や9/11のワールドトレードセンターの崩壊といった、本当の映像を生中継で観てきたことが原因かなとも思います。本当の災害と比べるのは失礼かも知れませんが、この映画では、そこに人の生死が実感として感じられませんでした。映像としてはかなりよくできてるんですけどねぇ。
どちらかというとあまり邦画観ないんですけど、最近の邦画はがんばってるなと思わせてくれる、そんな作品でした。同じ樋口さんの監督作品である『ローレライ』も観てみようかな。


このコラムは2006/8/13にゴルフブログ「振り向けばカジュアルウォーターIII」に掲載されたものです。


昇る国沈む国
昇る国沈む国 渡部 昇一

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