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Vol.210 『人類創世』

人類創世観賞映画振り返りコラムの74回目は1982年に観た『人類創世』。銀座のヤマハホールで、友人と一般試写会で観ました。
有史以前の物語。他の種族の襲撃によって、命の源ともいえる火を失ってしまった種族。雷などによって手に入れた火を絶やさずにいたこの種族は、火をおこす方法を知らず、新たに火を手に入れなければならなくなった。火を求めて旅に出る3人の若者は、人食いの種族から火を入手し、捕らえられていた別種族の女性を救出する。しかし、手に入れた火は消えてしまい、再び火を求めて旅をすることになった……。


この作品はなかなか不思議な映画でした。有史以前ですから当然文献や記録があるわけではなく、すべて想像の世界での物語。人類がどのように火をおこすことを学び、狩りの方法を発展させたか。あるいは、笑うという感情や、セックスを交尾ではなく愛し合う行為と発展させたのかといったことが詰め込まれています。
コミュニケーション手段としての言語もなく、映画の中ではセリフは一切出てきません。しかし、それでも登場人物の感情といったものがきちんと伝わってきますし、思わず笑ってしまうようなシーンも散りばめられていて、最初から最後までぐいぐい引っ張っていかれる感じ。
こういう映画は初めてでしたがすごかったですね。もちろんストーリーはありますが、言葉による説明なしでそれを成り立たせることができるというのがすごい。監督のジャン=ジャック・アノーという人は、この映画まで知りませんでしたが、すごい監督がいるんだなぁと素直に感心しました。
内容としては地味といえば地味ですし、今みたいにCGなどを使って原始世界を表現できるわけではないので、今観たら映像自体はしょぼく感じるかも知れませんが、我々の祖先ってこんな感じだったのかなぁと思える説得力はありました。
この映画を観てしばらくの間は、火を見るだけで「おぉ!」と思ってしまう自分がいたことを覚えています。あまりメジャーな作品ではありませんが、インパクトが強い映画でしたね。
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