小林清志「私ね、65歳から止まってるんですよ」『ルパン三世』新キャスト加入製作発表会（再編集版）

声優の小林清志さんがお亡くなりになりました。『ルパン三世』では50年以上にわたって次元大介役を演じ、昨年放送された『ルパン三世 PART6』のエピソード0で勇退されたばかり。現在放送中の『KJファイル』にも出演しており、まだまだその声で楽しませていただけると思っておりました。

今回は小林さんの死を悼み、以前他サイトに掲載された、TVスペシャル『ルパン三世 血の刻印 ～永遠のMermaid～』の記者会見の模様を再編集してご紹介します。

●TVスペシャル『ルパン三世 血の刻印 ～永遠のMermaid～』記者会見
開催日：2011年10月9日
登壇者：栗田貫一、小林清志、浪川大輔、沢城みゆき、山寺宏一

約1年10ヵ月ぶりに登場する『ルパン三世』の新作TVスペシャル『ルパン三世 血の刻印 ～永遠のMermaid～』。本作では主要キャラクターである石川五エ門、峰不二子、銭形警部が新キャストとなり、それぞれ浪川大輔さん、沢城みゆきさん、山寺宏一さんが担当することが決定。ルパン役栗田貫一さん、次元役小林清志さんを含め、メインキャスト5名による製作発表会が開催されました。

山寺宏一さん：小学校の頃から大好きなルパン三世に、大好きなキャラクターである銭形警部をやらせていただくことができて非常に光栄ですが、とても緊張、そしてちょっと怖い感じもあります。

浪川大輔さん：このルパンという大きなタイトル、いままで長年築き上げられてきたものを傷つけないように精一杯がんばっていきたいと思います。

沢城みゆきさん：役が決まってからTVシリーズとスペシャルと見させていただいているんですけど、見れば見るほど不二子のことを好きになりました。

栗田貫一さん：このたびアンパンマン役に……（周りから“違う”とつっこみと爆笑）
また新しい作品ができたということではりきっております。また、フレッシュじゃない人もいますが、お二人ぐっとフレッシュな方が入られていい感じですね。ほんとに楽しみです。

小林清志さん：40年やってます。40年っていったら子供がね、課長かなんかになってる（笑）　だいぶガタきてますが、首から上はだいじょぶです。なんにも心配ありません。こうなったらくたばるまでやろうと思ってます。

・新キャストの方々、最初にそれぞれの役をやると決まったときの感想をお聞かせください。

山寺さん：オーディションの話がきて、オーディションを受けることすら恐れ多い気がしました。僕は1stシーズンのころから大好きで、そして納谷悟郎さんのことをほんとに尊敬してますし、僕らにとってみれば神のような存在の人ですから、銭形といったら納谷さんというイメージがあり、どうしたもんだろうと思いました。

スタッフの方ともお話しをして、もちろん似せたほうがいいけれど、あまり無理しすぎちゃいけないし、かといって納谷さんのイメージから離れてしまうとファンである僕自身がいやだし、そのせめぎあいが難しかったです。まずは少しでも近づけるようにとやっています。自分が演じる前に、納谷さんだったらどういうふうに言うんだろう？と想像して声を発するようにはしています。

浪川さん：オーディションの話をいただいたとき、もう記念受験だなって思うほどうれしかったです。僕も小さな頃からルパンというものを見させていただいてて、あのとき感じたドキドキであったり、ワクワクであったりとか、ほんとに受かったときにこれが出せるのかなと不安だったんですけど、できることはやろうと。

五エ門って言葉数自体は少ないんですが、いろんな表情があって、ほんとに奥の深いキャラクターだなと感じています。山寺さんと同じように、ほんとに一回想像してから出さないといけないので、見てきた作品にない場合、新しいものというのはほぼないんですけど、そういうときはほんとに困るというか。もうどうしていいのかわからないので、想像を膨らませて、全力でプレッシャーに立ち向かっていこうと思います。うれしさとプレッシャーの中で戦っているという感じです。

沢城さん：受かったときは、うれしいとかプレッシャーというよりも、どの感情でもない「へぇ～」みたいな感じでした。

オーディションで新しい不二子像があるようでしたらやってほしいと言われたのですが、セクシーにふろうと、かわいいにふろうと、すべて増山さんがすでにおやりになってて、私が新たに提示できることが何もないなと思いました。新しい何かというより、不二子の魅力を引き継いでいこうと思います。

・栗田さん、小林さん、新たな顔ぶれを迎えたときにどんなふうに思われましたでしょうか。

栗田さん：たいへんだろうなと思いました（笑）　僕は山田康雄さんが具合が悪くなられたときにちょっとマネしてやってくれないかという話がきっかけだったんです。そのとき、山田さんのモノマネをしていたので、僕でお役に立てることがあればという程度で話を伺ってました。

結局、山田さんが他界されてしまって、作品は手つかずで残っていて、それまで吹替をやったことなかったですし、右も左も前も後ろもわからない世界に入ったわけですが、小林さんとか納谷さんとかレギュラーの方々にとにかく包容していただいて、暖かいぬくもりを感じさせていただきながら、一生懸命やって、それが今につながってきています。

一生懸命僕なりにやったんですけど、いろんなことを言われたり、叩かれたりするようなこともあったりして、僕はまあ元々物まねをしてた人間ですからそれほどではなかったんですが、それでも僕はそんなこと言われる覚えないやぐらいな感覚であったんです。

でも新キャストのみなさんは、それをわかった上で、声優として大活躍されてる人たちということが逆のプレッシャーになって、もっと重圧を受けて参加することもあるんじゃないかなと。僕はたいへんじゃないかなということがなんとなく僕はそれを想像できるというか。

小林さん：ここにいるみなさんがどうこうということではないんですけど、私が残念でならないのは増山さん、納谷さん、井上さんがいないというのが残念です。できれば一緒に続けていきたかったなという気はしています。

40年やってきて、40年って長いんですけど、さきほども言ったように首から上だけしっかりしてるので、これからはこのメンバーですばらしいものを作っていきたいなと思ってます。

栗田さん：おいくつになられたんでしたっけ？

小林さん：私はね、65歳から止まってるんですよ。その先は数えないことにしてる。永遠の65歳。ほんとは永遠の50歳ぐらいにしたい。

栗田さん：それじゃ僕より下になっちゃいますよ（笑）

・ルパン三世の作品の魅力はなんでしょう？

山寺さん：小学校の頃に見るとすごく大人っぽいというか、大人になったような感じで見られる作品だと思ってます。今回の作品に関しては、自分がその役をやるということでそちらのほうに夢中になって、リハーサルとかしてても作品の全体をどう感じていいかわからないぐらいのそんな状況ですが、いまアフレコ中なんですけど、ほんとにすばらしいと思っています。いろんな要素が含まれていて、アクションもすごいですし、ロマンスもありますし、生きる上でのメッセージもありますし、いろんなエンターテインメント要素が合わさったすごい作品だと感じながらやらせていただいております。

沢城さん：TVシリーズを見直してたときに、大人の人たちがすごくアニメをおもしろがって作ってるのがわかりました。空気感が、すごく楽しみながら作っているのがなによりルパンっぽい気がしています。すごく大きな作品ですしプレッシャーもあるんですけど、できるだけ楽しみながらやるようにしています。

浪川さん：ルパンといえばこういう作品だというものがあるんですが、男って小さなときって走ってるだけで楽しかったときとかあるんですけど、ルパンはすごく壮大な追いかけっこをみんなでしている。その大きなテーマの中でいろいろな肉付けが毎年作品で違うんですけど、ルパンが逃げる、ここまで近づいてるのに捕まらないとかそういうわかりやすいところが変わらないところを見たいと思える作品、それがルパンの魅力そのものです。

小林さん：この作品は伝統がある作品なので、諸先輩の息がかかってるような、上から彼らの思いが我々にかかっているような、ものすごい重圧感というのを感じます。いろいろな方の思いがこの中に詰まってるんです。

栗田さん：モンキーさんが原作を作られて、そこに山田さんという、歌でいうと歌手がいて、とても歌の上手い人で、踊りもうまくて、エンターテインメント性のあるすごい方が、軽妙かつ爽快に歌った歌い手さんだったんですね。

その人の歌をマネしたくてモノマネをしていたんですけど、ルパンという作品は実をいうと、ちょい悪オヤジ、軽いオヤジ、スケベなオヤジ、普通のおじさんにはできない恋愛ができたり、女の子にやさしかったり、そういうルパンという人物像の中で、その中に出てくるいろんなアレンジ、編曲が奏でる一曲のオーケストラになって、放送してるんじゃないかなって僕は思ってるんです。だから素敵な歌をちょっとでもマネできるようしたいなと思ってます。

『ルパン三世 血の刻印 ～永遠のMermaid～』：https://www.tms-e.co.jp/alltitles/lupin/010222.html
公式Twitter：@lupin_anime

原作：モンキー・パンチ ©TMS・NTV

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