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『本好きの下剋上』第3期クライマックス直前、井口裕香さん×速水奨さんインタビュー

好評放送中のTVアニメ『本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~』第3期。
クライマックス直前のキャストインタビューとして、マイン役・井口裕香さんとフェルディナンド役・速水奨さんのインタビューが届きました。

本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~

――3期の収録で、心がけていたことは?

速水さん:やはり2期までと比べると、マインとフェルディナンドとの関係性は少しずつ近くなっているんですけど……僕は個人的にはマインを愛おしいと思っているんですけど(笑)、フェルディナンドとしてはそんな感情はまだないんですよね。

だから3期のドラマ展開を踏まえて、「暴走しがちなマインをちゃんと庇護して守らなければならない」という、現時点での立ち位置を確認して収録に臨みました。

――フェルディナンドも、少しずつですが人間味が増している気がします。

速水さん:そうですね。多分、最初の頃の神官長という立場だったら見向きもしなかったようなことに対しても、ちゃんと見極めた上でマインに的確に指示を出すようになった気がします。

本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~

――井口さんはいかがですか?

井口さん:3期ではマインの心の成長が描かれるので、そこを演じることができるのと、何よりその成長を映像で観られるのが楽しみでした。

これまで家族やフェルディナンドたちと培ってきた絆や関係性を改めて考えさせられるような描写も多いですし、マインによって印刷技術が発展していく様も含めて物語も大きく動くので、「大変だろうけど、楽しみだな」という気持ちで臨みましたね。

でも気合を入れて収録に臨んだら、最初は「フェルディナンドとの距離感がちょっと近過ぎる」って言われたんです(笑)。

オーディオブックで物語の少し先まで演じさせて頂いたり、ドラマCDではかなり先の貴族院での物語を演じさせて頂いたので……。

速水さん:3期の前に、物語のもっと先まで演じてしまったからだね(笑)。

井口さん:そうなんです。さっき奨さんが仰っていたように、まだ3期の時点ではフェルディナンドもある意味仕事としてマインの面倒を見ているし、マインも完全に気を許しているわけではないので。だから「ああそうだ、まだこの段階は青色巫女時代なんだ」って、慌てて戻しました(笑)。

本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~

――お互いが演じるキャラクターの魅力について、お聞かせください。

井口さん:「ギュってしてください」というマインの言葉に対しても、最初の頃は「こ、こうか……?」と不器用に応じていたのに、最近は「こうすると落ち着くのだろう?」と自ら進んでフォローしていますし。フェルディナンドとしては、当初は効率を考えて義務的な気持ちでやっていたのかも知れませんけど、マインが感じる温かさはそれを超えているでしょうし……きっとフェルディナンド自身も気付かない内に少しずつマインに心を溶かされて、今後ドンドン距離が近くなっていくと思うんですよね。

フェルディナンドは心の奥底には熱い気持ちを持っていて、でも過去の経験や貴族という身分から自分の感情を抑えるようにしている。だから一見とてもクールなんですけど、「でもやっぱり人間なんだな」という一面が、3期では垣間見えるんです。そのチラッと見える人間らしさが、可愛くて仕方ない(笑)。

速水さん:ああ、それは分かる(笑)。

井口さん:守ってもらっている存在だけど、守ってあげたくなる瞬間があるというか。

――フェルディナンドは非常に有能ですが、対人関係など不器用な面もありますよね。

井口さん:でもその不器用さが、また可愛いというか(笑)。

――デフォルメ時も、声のトーンは一切変わらないですし。

速水さん:そうですね(笑)、スタッフからも「変えないで欲しい」と言われていますし、SD状態のときも演技はまったく変えていません。

井口さん:ブレないところが、また良いんですよ。

本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~

――一方速水さんから見て、マインというキャラクターはどんな印象ですか?

速水さん:マインって、2期までは頑張り過ぎて熱を出して倒れるということをずっと繰り返していて、でもその中でそれまでこの世界には存在しなかったものを無から有を次々と生み出して、3期ではとうとう印刷機まで作ってしまった。

その流れの中で、フェルディナンドとマインの間で「本が普及していくと、世界はどうなるのか」という会話が交わされるシーンもあって、「庶民が政府を倒した例もある」みたいな話も出てきて。その危険性を危惧して、フェルディナンドは今後2年間は大人しくするようマインに告げるんですけど……マインの中には社会全体を大きく変えてしまうほどの知識があって、それを具現化するためにエネルギーのすべてを費やしている。そのすべての大本に「本を読みたい」という強い願望があるんですけど、3期ではそれに加えて「家族との愛」がクローズアップされて、マインは厳しい決断を迫られることになるんですよね。

そういう成長も含めて、個人的にはマインを見守る「子育て日記」を読んでいるような気持ちになるんです。手が掛かる子供みたいで、でもだからこそ愛しい存在という感じですね。

――フェルディナンド本人も、同じような気持ちなんでしょうね。

速水さん:この時代の文化として、マインをヒョイと抱え上げたりするのは貴族にあるまじき行為だと思うんですよ。そういう周りが見たらビックリするであろうことを平気でできるのも、すでに2人の間に特別な関係性があるからでしょうね。

本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~

――マインとフェルディナンド以外で、お2人が気になるキャラクターは?

井口さん:うーん、いっぱいいて難しい……。

速水さん:トゥーリは可愛いよね。

井口さん:天使ですねー。

速水さん:トゥーリには、本当に幸せになって欲しい(笑)。

井口さん:ですね。

速水さん:あとはディルクも可愛いし……。

井口さん:私はやっぱり、3期から登場したジルヴェスターが気になります。

速水さん:ジルヴェスターは演出も含めて、ちょっとズルいよね。あれはもう、絶対人気出ますよ。

井口さん:井上和彦さんの声も素敵ですし。

速水さん:一番人気になるかも知れない。

井口さん:1位はフェルディナンドですよ(笑)! そこは譲れないですけど、その絶対的な人気を脅かすような頼りがいのあるキャラクターが、ようやく出てきたなと思いますね。

井上さんの演じるジルヴェスターは、ドラマCDの方で声だけはすでに聴いていたのですが、アニメとはまた違うんですよね。

「ぷひっと鳴け」というセリフも含めて、心奪われますね(笑)。

速水さん:あとは、音楽アイドル・ロジーナちゃん。

井口さん:ロジーナちゃんお好きなんですね、意外です。

速水さん:「音楽だけ弾いていられれば幸せ」と思っている感じが、何か好きなんですよね(笑)。

井口さん:神殿の中だと、私はデリアが好きなんです。もしも現実で近くにいたら価値観が違い過ぎて、仲良くなるのはなかなか難しい気もしますけど。

本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~

――彼女の価値観は、あの世界では割と普通なのかも知れませんね。

速水さん:そうですね。シキコーザなんかも、もしかしたらあの世界の貴族としては一般的な価値観の持ち主なのかも知れない。

井口さん:嫌な奴でしたけど、そうかも知れないですね。そういう意味ではデリアも根は悪い子じゃないですし、本当に周りの環境が悪かった

だけなんだと思います。すごく愛に飢えている真っ直ぐな子ですから、ディルクという大切な存在ができて本当に良かったと思いますし。

マインから色んなことを学んだと思うんですけども、逆にマインも彼女から学ぶことが多くて、だから出会えて良かったなと思いますね。

――フェルディナンドはもちろん、ルッツも女子人気が高そうですね。

井口さん:大人のキャラだとベンノさんやギュンター、マルクさんも素敵ですよね。ギルも可愛いですし。

速水さん:ダームエルも良いよね。

井口さん:あの頑張っている姿が。

速水さん:一度地に堕ちた男ですから同情しますし、だからこそ頑張って欲しい。男性から見ても、カッコ良いなと思いますね。

井口さん:不遇な状況にも腐らない、素敵な人です。

本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~

――いよいよ3期もクライマックス目前ですが、おすすめの見どころは?

速水さん:一番語りたい部分は完全にネタバレなので(笑)、それ以外だと……やっぱり、人間の一番嫌な部分が濃縮されたベーゼヴァンス神殿長の表情でしょうか。こういったアニメであそこまで悪代官っぽいキャラクターはなかなかいないと思いますし、彼とビンデバルト伯爵の下衆コンビは、特に大人には楽しんで観て頂けると思います。

――井口さんは?

井口さん:そうですね……マインはこれまで色んな人とぶつかりながら、その度に和解したり壁を乗り越えたりして来ましたけど、今回は「どうやっても分かり合えない、和解できない」という人たちと対峙することになります。そこをどう乗り越えるのかという、マインの成長していく姿は見どころだと思いますね。

何だか良く分からないまま貰っていたジルヴェスターさんのお守りにも、ちゃんと意味がありますし家族との絆はもちろん、これまで出会った人たちとの絆やそれぞれの想いがキチンと実を結んで、その力を借りて一歩前に踏み出すマインの凛々しい姿を、しっかりと見届けて欲しいです。

――表情の変化や日常芝居などについては特に丁寧に描かれた作品だと思うのですが、アフレコについてはいかがですか?

速水さん:セリフの間やタイミングも、キャラクターや芝居に合わせてしっかりと考えられている作品だと思います。

井口さん:だから、毎回すんなり演じることができるんですよね。

速水さん:口パクの動きが変に長かったりというようなこともないから、演じていて違和感がない。

井口さん:アフレコで言えば……コロナ禍以後は密を避けるために分散収録が多くなったんですけど、3期のクライマックスは掛け合いが多いので、フェルディナンド役の速水さんはもちろん、ジルヴェスター役の井上和彦さん、神殿長役の星野充昭さん、ビンデバルト伯爵役の茶風林さんと一緒に、最大3~4人で収録させて頂いたんです。これだけの大先輩に囲まれて収録する機会もそうはないので、「これは贅沢な現場だな」と改めて思いましたね。

皆さん本当に私の手を引いてくださるように、気持ちの良い掛け合いをしてくださるんです。そのおかげで、感情面だけでなく技術的にも自分の実力以上のものを、自然と出せるような空気を作って頂きました。

速水さん:演技って、そういうところがありますよね。やはりお互いの呼吸によるものですから、語尾などで相手の感情の動きがきちんと感じ取れると、それだけでこちらの演技も全然違うものになる。

井口さん:本当にすごく変わるんですよね。だからいつも以上に研ぎ澄まされた気持ちでマイクの前に立つことができましたし、自分の思っていた声よりも格段に良いリアクションができたり……本当に貴重な経験になりましたし、学ぶことの多い現場でした。

本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~

――その他、収録現場などでの思い出は?

井口さん:1期のときはゆで卵が流行って、キャストがみんな現場にゆで卵を持ってきて、一緒に食べたりしてましたね(笑)。

速水さん:バーベキューにも行ったね。

井口さん:2期の終わり頃に、メインキャストの5~6人で行きましたね。また落ち着いたら……4期がスタートした暁には、またみんなで行きたいです(笑)。

――では最後に、ファンの皆さんへのメッセージをお願いします。

速水さん:本当に壮大なドラマですし、個人的に先の展開が知りたくて原作小説も読んでいるんですけど(笑)、ファンタジーなのに読めば読むほどリアルに感じるんですよね。

本当に自分が異世界にいるような感覚を味わえますし、同時にマインが次に何を創り出すのかという期待とワクワク感もあり、それでいてこの先マインはどうなるのかという、ドラマチックな展開を予感させるストーリーも楽しめる。ですからアニメも4期以降へ続いて欲しいですし、この先の物語を僕もファンの皆さんと一緒に楽しんでいきたいと思っています。

実は先日、ウイスキーを飲みながら1期を観直し始めたら、おもしろくて止まらなくなってしまいましたし(笑)。

実際どんな方でも楽しめるドラマになっていると思いますので、ぜひ周りの方にもお勧め頂いて、老若男女問わず観て頂けたらと思います。

本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~

井口さん:本当に世代に関係なく楽しめる作品ですよね。お子さんならマインに感情移入して、大人であればそれこそフェルディナンドの目線で楽しむこともできるし、マインの視点からより俯瞰で観て楽しむこともできるでしょうし。

だからお子さんがいらっしゃる方は、ぜひ一緒に観て頂きたいんですよね。絵は子供にも見やすいものになっていますけど、物語はとても骨太ですし……特に3期のラストはきっと皆さん泣いてしまうと思いますので、ハンカチを用意して臨んでいただきたいと思います。

また、原作小説はこの先が本当に盛り沢山なので、アニメも4期5期と続くことを願っています。

速水さん:物語的には、ここからがいよいよ本編だからね(笑)。

井口さん:そうなんですよ、ホントに(笑)! ドラマCDでも充分楽しめるんですけど、やっぱり映像で観たいんですよね。

速水さん:最後まで描くとしたら、何期まで続けなきゃいけないの?

井口さん:何期かなあ……10期?

速水さん:ぜひ最後まで行って欲しいね(笑)。

井口さん:マインの発明とベンノさんたちの協力でこの世界の歴史も動いていきますし、ジルヴェスターやフェルディナンドの勇ましいシーンが観れるのも、この先なんです!

ですから、まずは3期を楽しんで頂いた上で原作小説も読んで、予習を済ませておいて欲しい(笑)。

その上でまたマインとフェルディナンドとして、皆さんとお会いできたら嬉しいです。

公式サイト:http://booklove-anime.jp/
公式Twitter:@anime_booklove

©香月美夜・TOブックス/本好きの下剋上製作委員会2020

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