Vol.268 『BRAVE STORM ブレイブストーム』
マスコミ試写にて『BRAVE STORM ブレイブストーム』を鑑賞。1970年代の特撮番組『スーパーロボット レッドバロン』と『シルバー仮面』が共演する、リブート特撮映画。
2050年、キルギス星人による惑星改造の影響で地球の環境は激変、人類のほとんどが死滅していた。わずかに生き残った人類の中で春日兄妹は、キルギス星人の地球侵略を阻止しようと2015年に時間移動する。キルギス星人の侵略ロボット「ブラックバロン」の設計図をもとに、ロボット工学者の紅健一郎へ「レッドバロン」の製造を依頼する春日兄妹。弟の紅 健を操縦者にすることを条件に、製造されるレッドバロン。キルギス星人の地球侵略まであと3年――。
本作は、『スーパーロボット レッドバロン』と『シルバー仮面』の原作要素をふんだんに盛り込みながら、新しい物語として再構築している作品。その設定のアレンジは特に違和感がなく、両作品の特徴をうまく融合させた内容になっています。
『シルバー仮面』に登場する春日兄妹の次男光二(大東駿介さん)が変身する設定であったシルバー仮面はシルバースーツという形で人間の能力を高める戦闘スーツで登場。シルバー仮面といえばもちろん肉弾戦なわけですが、本作でも敵を相手にSEではない殴る音が聞こえそうなアクションを展開します。
敵となるキルギス星人は竹谷隆之さんがリファイン。その手先として、原作では春日兄妹の親を殺すチグリス星人が登場。人間の姿から正体を現すシーンだけでも見応え十分でした。
このチグリス星人と戦うシーンがあるのは春日兄妹の末っ子であるはるか。彼女の設定は原作と違い、サイキック能力を有する女性になっています。そしてその戦いは……短いシーンではありますが、このシーンだけでしびれます。はるかを演じているのは『ウルトラマンジード』でおなじみの山本千尋さんですが、そのかっこよさ! これは惚れますね、マジに。作品中、いろいろなシーンがありましたが、このシーンは最高です。
『スーパーロボット レッドバロン』のほうはというと、原作通り、紅健一郎博士がレッドバロンを製造したり、ロボット工学に携わる者が誘拐されて奴隷人間としてブラックバロン製造に関わったりしていますが、鉄面党は出てきません。そして、兄に託されたレッドバロンを操縦するのは弟の健(渡邉秀さん)。このあたりも原作を踏まえた設定になっています。
レッドバロンのデザインも従来のずんぐりした形ではなく、今風といったらいいでしょうか。『パシフィック・リム』で、そのロボットアクションを喜んだ方なら、本作はさらに楽しめると思います。相手もブラックバロンというロボットであり、その近接戦闘、ミサイル、そして必殺武器であるエレクトリッガーと、レッドバロンのよかった部分が現代の技術によって新しく生まれ変わり、大迫力の戦闘シーンとなっています。
余談ですが、ブラックバロンは隅田川から勝鬨橋で上陸、銀座4丁目交差点でレッドバロンと対決、そして国会議事堂前で環境改造のためのガスを噴出するという……どこかで観たことある進路だなぁというあたりも特撮愛を感じました。
映画としては84分という短い尺なので、かなり駆け足なイメージはありますが、その分ムダがなく、だれることなく最初から最後まで一気に畳みかけられる感じです。最近だと、大人向けにするために、人間ドラマ部分を必要以上に入れたり、恋愛要素をからめたりというようなことがありますが、そういった冗長な部分はなく、しっかりとした特撮作品として楽しめます。特撮好きならぜひ観ておきたい作品です。
『BRAVE STORM ブレイブストーム』は、この秋、TOHOシネマズ上野ほかにて全国ロードショーです。
©albatross japan
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