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Vol.238 『劇場版 蒼き鋼のアルペジオ-アルス・ノヴァ- Cadenza』

劇場版 蒼き鋼のアルペジオ-アルス・ノヴァ- Cadenza先行上映会にて『劇場版 蒼き鋼のアルペジオ-アルス・ノヴァ- Cadenza』を鑑賞。TVシリーズ『蒼き鋼のアルペジオ-アルス・ノヴァ-』に新作パートを大幅に追加した『劇場版 蒼き鋼のアルペジオ-アルス・ノヴァ- DC』の続きにして、完結編。

「これは、人類への降伏勧告である」。ついに人類に最後通牒をつきつけた霧の艦隊。人類は霧の艦隊が許可した者のみ、その庇護下で生き残る……これに対抗しうる蒼き艦隊はすでに潜水艦・イ401(イオナ)のみ。その真意を問いただすべく、北極海のムサシの元へ向かうイ401。しかしその前に、霧の生徒会が率いる大艦隊が立ちはだかるのだった。

前作から8ヵ月で登場した完結編は、完全オリジナル作品として作られただけあって、尺に合わせて練り上げられたシナリオできちっと収まった作りになっています。今回、場面写真はおろか、あらすじすら発表されていない本作は、冒頭から驚きの展開。いったい何が始まったのか?と混乱しているうちに、あれよあれよと話が進んでいく。

そしてその裏に隠されていた謎の数々が解き明かされたとき、メンタルモデルの正体、そしてムサシ、ヤマト、翔像の真意、そして数々のメンタルモデルを変革させたイオナの存在の意味が見えてきます。

この物語は、イオナをはじめとするメンタルモデルたちが群像と出会い、変革・成長していく物語なわけですが、実はもっとも成長し、変わったのは艦長である群像だったりします。先行上映会の後に行われたトークショーで、群像役の興津和幸さんが「やっぱり僕が主役でした!」と話をしていましたが、父と子、そして仲間達との絆を通じて大人になっていく群像。

その物語の軸があるからこそ、イオナたちの物語も光り輝く。ともするとイオナたちばかりに目が行きがちですが、実に男の物語としても展開されるアルペジオがあり、海は男を成長させるなどという言葉を思い出したりもしました。

難を言うと、本作は本作だけで成り立ちません。前作はTVシリーズの総集編的な要素もあり、ぎりぎりなんとか観られるかなと思いましたが、本作は前作までを観ていない人はついてこれないでしょう。続編やシリーズ物ではありがちなことですが、1本だけで成り立たないというのは映画としてはマイナスですね。『DC』とセットで1本と考えるのがいいかも知れません。

ですので本作を観るなら、『DC』を観てからにすることをオススメします。ちょうど今日、TOKYO MXでテレビ放送があるので、観ておくといいと思います。

『劇場版 蒼き鋼のアルペジオ-アルス・ノヴァ- Cadenza』は10月3日より公開です。

©Ark Performance/少年画報社・アルペジオパートナーズ

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