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Vol.131 『サンクタム』

Sanctum完成披露試写にて『サンクタム』を観賞。ジェームズ・キャメロン製作総指揮による冒険映画、と思って観に行ったのですが、昔でいうパニック映画ですね。
パプアニューギニアのジャングルにぽっかりと口を開けた巨大な洞窟。その全容を探っていた調査チームが地底深くにある地底湖のそばの前線基地にいるときにサイクロンが直撃。洞窟に流れ込んだ水により地上への出口が閉ざされてしまい……調査チームは地底湖の先にある未知の洞窟へ、その脱出を試みるのだった……。


映画としては、パニック映画によくみられる「極限状態に置かれたときに人々が取る行動とその結果」という内容だと思っていただければいいと思います。『タワーリング・インフェルノ』のように、災害で取り残された人々が脱出を図るが、徐々にその人達の本性が現れて……という、極限状況下の人間ドラマ。
この『サンクタム』は取り残される人数がそれほど多いわけではありませんが、ストーリーとしてはそういった映画のセオリー通りの展開。このへんで何かアクシデントがありそうだなぁとか、この人こうなるんじゃないかなぁとか、だいたい想定の範囲で話は進みます。わりとえぐいシーンもありますが、話としては安心して観ていられる(?)映画と言っていいでしょう。
人間ドラマとしては、世界的な探検家である父親と、強引に参加させられてうんざりしている息子の親子関係が軸になって展開します。確執のある親子がこういう状況に置かれる映画となれば、まあ、だいたい想像できるかと思いますが、その通りの展開です。
この映画は「全世界待望のジェームズ・キャメロン最新作」、「遂に次世代3Dを完成」、「驚異の3D最新作『サンクタム』」といったキャッチコピーでもわかる通り、ジェームズ・キャメロンが関連した3D映画というのが売り。『アバター』のために開発されたカメラを用いたというその映像は、誰も見たことがない巨大洞窟の地底湖をリアルに再現……。
誰も見たことがない世界をリアルに感じるというのは難しいですよね。見たことないんですから(^_^;) 3D映像としてはどうかというと『アバター』ほどの立体感はなかったように思います。3Dに慣れてきたからということではなく、描かれる世界と3Dの効果が相反しているためではないかと思います。
3Dによる立体効果というのは手前の対象に対して、背景の奥行きが感じられる構図のときに最大になるわけですが、この映画の場合、洞窟の中に閉じこめられた閉塞感を表現しなければなりません。映像の奥行きを持たせる効果を使って狭い空間を撮影する。立体感を出そうとすると広い空間になってしまうし、閉塞感を出そうとすると立体感が損なわれる。個人的には洞窟という舞台をより効果的に使い、息苦しさなどが伝わる映像にすべきだったのではないかなぁという気がします。
この作品はキャメロンの3D映画などという先入観を持たずに観ることをオススメしたい映画です。『アバター』や『アビス』は想像しないほうがいいでしょう。
『サンクタム』は4月22日よりTOHOシネマズ日劇ほかにて全国ロードショーです。
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