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『冷たい熱帯魚』東京フィルメックス舞台挨拶のご報告

ついに日本にて初お披露目!!
東京フィルメックス舞台挨拶のご報告
鬼才・園子温監督最新作は、ヴェネチア国際映画祭、トロント映画祭など多くの海外映画祭で上映され、早くもヨーロッパを始め世界10カ国で公開が決定している『冷たい熱帯魚』。11月27日(土)、第11回東京フィルメックス(@有楽町朝日ホール)にて日本での初お披露目を迎えました。
チケットは早々に完売し、上映を待ちわびていた日本のファンの熱気に満ちた中、園監督と吹越満を始めとする出演者全員による舞台挨拶を行いました。


●舞台挨拶&囲み取材
登壇者:園子温監督、吹越満、でんでん、黒沢あすか、神楽坂恵、梶原ひかり、渡辺哲
園子温(監督):
日本で初めての上映に来ていただいてありがとうございます。今までで一番の出来です!
よく怖いと言われますが、普通の娯楽映画です。『愛のむきだし』とは真逆ですが、すばらしい作品に出来あがっているので楽しんでください。
昨日、酔って涙を流しながら「『冷たい熱帯魚』を観て、初めて映画で感動した!!」と言ってくれていた人の話を聞きました。すごく嬉しかったです。この作品を観て、ぜひ、皆さんが思い思いに感じてくれたらと思います。
吹越満(社本信行役):
園監督以下、スタッフ、キャストが一丸となって作りました。銀座の昼下がりに観るにはどうかな…(笑)。
初めて客席で作品を観たのはヴェネチアの完成披露試写だったのですごく緊張しました。想像していなかった笑い声とリアクションで嬉しかったです。
寒い季節の撮影でしたし、条件的に厳しいことが多かったですが楽しかったです。後半のシーンを撮影2日目に撮ったんですが、神楽坂さんと夫婦に見えるようにするためには、どうしたらいいのかと考えていたら、監督から「とりあえずキスしよう!」といわれるし(笑)。良い意味で行き当たりばったりでした。最初から最後までが見所です。想像を超えるラストになっています。
でんでん(村田幸雄役):
園監督は、映画作りという遊びをしているガキ大将という感じ。みんなが乗せられて、遊んでいる感覚でした。どんなに遅い時間まで撮影していても、次の朝が早くても、とにかく楽しかったです。展開が読めなくて、観ているうちに大きな渦に巻き込まれ、最後に解き放たれる、そんな映画です。ぜひ、お楽しみください!
黒沢あすか(村田愛子役):
(監督は)とにかく映画好きな方。物づくりの情熱にあふれていて、それを思い切りぶつけてくれます。のせるのがうまくて、酔わせてくれました。つい、乗せられてしまって、劇中でとんでもないことをしています(笑)楽しく、おどらせてもらいました。稽古中は、家事との両立が大変でしたが、出来ていないことは丁寧に指導していただき、できることをすくいあげて頂いて、今までの女優人生の集大成となりました。。すごく感謝しています。「生きてるかー!? たぎってるかー!? 燃えてるかー!?」と呼びかけられているような映画です。猛毒エンターテイメントをご堪能ください。
神楽坂恵(社本妙子役):
私にとって何年分もの成長ができた作品です。スタッフ・キャスト・監督に支えられながら演じました。生涯忘れられない作品です。
稽古ですごく怒られて、泣いたこともありました。今までの人生を否定されるくらい怒られて、今までで一番追いつめられましたがが、愛情を感じました。撮影に入ってからは、上手に引き出して頂いて嬉しかったです。一生懸命生きているかを考えさせられる映画になっています。
梶原ひかり(社本美津子役):
監督は本当のお父さんみたいに厳しいけれど、愛情を注いでくれました。成長できたし、強くなれたと思います。1日目のリハーサルで「これじゃ現場に連れていけない」とダメ出しされ、悔しくてお風呂で号泣しましたが、その言葉がなければ変われなかったので感謝しています。
(映画を観て)こんな愛があるのかと思いました。今までに観たことのない愛があふれている作品です。
渡辺哲(筒井高康役):
お忙しい中お越しいただきありがとうございます。愛に満ちた作品です。衝撃を受けると思うので、15分くらいたってから、みんなに宣伝してください(笑)。
監督は、皆さんがおっしゃていますが、映画好きの愛情あふれる方です。長いシーンの撮影では、でんでんさんの台詞も多いし、「大変だな…」と思いつつプレッシャーを感じていました。
(映画は)「愛」の一言。自分の人生に跳ね返ってくる作品です。何回も観て、その時々の感じ方の違いを比べてみたいです。
●ティーチイン(上映後)
登壇者:園子温監督、吹越満、でんでん、黒沢あすか
Q:この作品を作ろうと思ったきっかけは?
園監督:日本で起こったいくつかの犯罪の中で興味が持てたものを調べて物語を作っていく上で、日本映画に欠けている徹底的に救いのない映画を作りたいと思ったのがきっかけです。
Q:シナリオを読んだ印象、出演に至る経緯をお聞かせください。
吹越:自分が見たい映画だと思いましたし、参加できることが嬉しかったです。園監督の作品に出るのは3作目です。偶然、下北沢で園監督に会った時に「1月空いてる?」と聞かれて、「空いてます。」と答えて、台本をもらったらこの役でした。「空いてます。大丈夫ですよ。」と答えていたのでやらざるをえなくなったんです(笑)。それが出演の経緯です。
Q:村田役を演じた感想は?
でんでん:『ちゃんと伝える』で国語の先生役を頂いたことがきっかけでした。村田は今までやったことがない役でした。今回も3~4シーンくらいかと思っていたので、台本を読んだ時に村田の台詞が多いので、「俺、村田役だよな?」と思いました。とにかく極悪人を一度やってみたかったので、こういう役をいただいて感謝しています。
Q:園監督はいかがでしたか?
黒沢:園監督とは初めてでした。ちょうど去年の今頃オーディションをしまして、返事がなかなか来なかったんです。私は子供が3人いて、この体形では返事をいただいてから体を作っていては間に合わないと思って・・・。お腹周りの写真を園監督に送って、撮影までに何とかしますとお伝えして、ビリーズブートキャンプをやって衣装合わせの時までに体を絞りました。現場では、園監督は年上の方なのですが、私にとっては男の子なんです! とっても可愛いらしくて、優しくて大好きです。
Q:いくつか笑いが起こるポイントがありましたが、そこは意図されましたでしょうか?
園監督:コメディの原点は、主人公がどれだけ救いのない状況に転んでいくのかというのが、笑いの元だと思います。ついつい笑ってしまう極限状態というのはあるので、もしかしたら笑いが起きるかもと思ってはいましたが、笑いを取ろうとしたわけではないです。
Q:『愛のむきだし』と同じく父親の抑圧と無力な父親を感じました。そのテーマがより中心に据えられていると思ったのですが、いかがですか?
園監督:最初の台本では、そんなに強調されていなかったんです。吹越さんとでんでんさんとのやり取りの中で徐々に形成されていって、そこが大事な軸になっていったと思います。でも、そういうのは無意識に出てくるもので、意識的に描いたわけではありません。
監督・脚本:園子温(『愛のむきだし』)
出演:吹越満 でんでん 黒沢あすか 神楽坂恵 梶原ひかり 渡辺哲
共同脚本:高橋ヨシキ
製作・配給・宣伝:日活
英題:COLD FISH
2010/日本/カラー/35mm/146min/アメリカンビスタ/DTS-SR 【R-18】
(C)NIKKATSU
『冷たい熱帯魚』
2011年1月29日(土)より、テアトル新宿ほか全国順次ロードショー
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