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Vol.104 『宇宙ショーへようこそ』

マスコミ試写にて『宇宙ショーへようこそ』を観賞。文化庁メディア芸術祭優秀賞を受賞した『かみちゅ!』の舛成孝二監督によるSFファンタジーアニメ。
周りを美しい自然に囲まれた村川村。その村にある小学校は全校生徒が5人。毎年恒例となっている子どもたちだけの夏合宿の際、ケガをした犬を見つけるが、その犬はなんと宇宙人・ポチだった! 手当をしてもらったお礼にとポチは5人を連れて宇宙への修学旅行に繰り出すのだが……。


最近この手の、どこか郷愁漂う風景を舞台にしたアニメが増えているので、この作品もそういった類だろうぐらいの軽い気持ちで観たのですがとんでもない思い違い。これまでにない宇宙人や宇宙都市の描写、活き活き動くキャラクターたち、先の読めない奇想天外なストーリー、スピーディで迫力あるアクションシーン。どれをとってもすばらしいできばえでした。
小学6年生でリーダー格の清、ヒーローにあこがれる元気な5年生・夏紀、いまどきの4年生・倫子、不思議大好きな3年生・康二、しっかり者の2年生・周(あまね)。この5人の個性がきちんと描かれていて、それぞれの持ち味、それから役割がきちんと表現されているのがとてもいいですね。それもヘタなセリフで説明するのではなく、観ているうちに、あぁこういう子なんだなと自然に入ってくる感じ。
声優も大人を使わず、キャラクターと同年代の子役を使ってるのですが、これがけっこうはまっています。演技という点でどうだろうというふうにも思ったのですがまったく心配要らないレベル。もちろん子役たちなので知らないだろうと思っていたら『仮面ライダー電王』のコハナ役を演じている松元環季さんが入っていました。声優もやるんですね。
子どもたち5人がポチに連れられて訪れる月面都市もとても楽しそうな雰囲気が伝わってきますし、乗り物などの描写もおもしろく、いろいろな宇宙人も登場しますし、次から次へと新しい画が出てきてワクワクしながら観ることができます。これは子どもが観たらすごく楽しめるんじゃないでしょうか。
それでいて押さえるところはきちんと押さえているというか、押しつけの感動ではなく、自然な感動が得られるシーンもあります。思わずうるうるっとしてしまうような……年を取ると涙もろくなっていかんですな(^_^;)
元絵描きとしては、背景の美術がとても美しく、感心しました。特にキレイだったのが、夕方などのシーン。太陽の光と風景のシルエットのコントラストがすばらしく、まるで風景画を観ているような感じでした。夜の帳が降りる頃の夕焼けと、まだ青さの残る空へのグラデーション、それからそこに浮かぶ雲の雰囲気。この雰囲気を出すのは難しいんですよねぇ。
最近はファンタジーといいながら作者の頭の中の世界観、それもとてもシュールな世界観を押しつけられる作品も多いですが、この作品はそのようなことはなく、大人も子ども楽しめる冒険ファンタジーになっています。
自然あふれる少しノスタルジックな世界から宇宙都市へと続くSFという、日本ならではとも言える『宇宙ショーへようこそ』は6月26日(土)から新宿バルト9、シネ・リーブル池袋、渋谷シネクイント、立川シネマシティほかにて全国ロードショーです。
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stars家族ってやっぱり良いよね!
stars幼いお子さんをお持ちの方が子供に見せる分にはいいと思うが・・
stars絵は綺麗だけど…
starsよかった!

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