Vol.81 『ダレン・シャン』
完成披露試写にて『ダレン・シャン』観賞。児童文学のベストセラーを映画化したダークファンタジー作品。
親友の命を救うためにハーフバンパイアとして生きることを選択したダレン・シャンを待ち受ける未知の世界。バンパイアとバンパニーズとの戦いは親友であったスティーブと敵対する宿命を背負うことに……。
『ダレン・シャン』シリーズ自体の存在は知ってましたし、息子が読んでいるので家にもあるのですが私自身はまったく読んだことがなく、なんら前知識もなく映画を観ましたが、思っていた以上に楽しめました。映画としては『X-MEN』に非常に近いイメージでした。
この作品が原作何冊分を映像化したのかわかりませんが、とてもテンポがよく進んでいくストーリーがよかったですね。原作物を映画にする場合、その原作の中のどことどこを入れ、どこを切るかによってまったく印象が変わってしまうわけですが、シナリオライターがきちんと咀嚼して映像に必要なエッセンスを抜き出したという感じでした。
話自体はまだまだ序章という印象が強く、この後繰り広げられるであろう戦いの行方を期待させるところで話は終わりますが、中途半端な感じはまったくなく、この作品単体で映画として成り立っているところもいいですね。「こんなところで終わるか!?」みたいな感じの映画がよくあったりしますが、1本の映画として成立しないそういう映画は私は好きではありません。1本分の料金を取る以上、この映画のようにその作品だけで楽しめるようにしてくれないといけませんよね。
欲を言うと、ダレン・シャンがハーフバンパイアにならなければならないという選択を迫られる場面の描写ですかね。成績優秀、女の子にもモテ、家族にも恵まれているダレンが、親友・スティーブの命を救うためにその環境をすべて捨てなければならなくなる。友達の命か、自分の人生か……そんな究極の選択にも関わらず、その重さがもう一つ伝わってこない感じがしました。
命を救ったスティーブがダレンに敵対し、バンパニーズとなっていく過程がうまく描かれていた分、ダレンがハーフバンパイアとなるときの心の葛藤がもう少し感じられたらもっとよかったなという気がします。
誰が出ているのかも知らなかったのですが、渡辺謙さんやウィレム・デフォーが出ていてびっくり。渡辺さんはすっかりハリウッドスターになってますねぇ。日本人が出ていてまったく違和感がないどころか、貫禄を感じましたね。
ウィレム・デフォーは最近では『スパイダーマン』のグリーンゴブリンを演じてますが、個人的には『プラトーン』に代表されるような性格俳優としての演技のほうが好きです。この映画ではそれほど出番はありませんでしたがやはり存在感がありました。
児童文学としてはちょっと暗いかなぁという感じはありますが、子どもから大人まで楽しめる作品だと思います。
『ダレン・シャン』は3月19日全国ロードショーです。
→『ダレン・シャン』の記事を探す
→渡辺謙の記事を探す
コラム, ファンタジー映画
2010/01/20 08:10 MOVIEW