Vol.32 『K-20 怪人二十面相・伝』
TOHOシネマズにて『K-20 怪人二十面相・伝』観賞。言わずと知れた怪人二十面相をまったく別な角度から描いた、VFXアクションムービー。初めて予告編を観たときから注目していて、試写会に行くチャンスもあったのに仕事で行けず。ようやく公開初日に観ることができました。
ワイヤーアクションばりばりのアクションシーン、『ALWAYS 三丁目の夕日』のスタッフが結集したVFXは見事。『ALWAYS 三丁目の夕日』を経て、CGは格段に技術が上がりましたね。架空の帝都の表現など、ロケとCGの組み合わせで描かれた世界はかなりのリアリティがありました。
各キャラクターの個性などもうまく表現されていて、それぞれにコミカルなシーンもあり、楽しむことができました。が、
途中でわかってしまうシナリオ、せっかくリアリティを追求しているのにそれをぶちこわしてしまうオートジャイロなど、少々残念なところがありました。詳しくは書きませんが、突然アニメ的な物理的に不可能な動きになってしまうんですよねぇ。そもそもオートジャイロが登場した時点で嫌な予感はしたんですよね。
途中で結末が見えてしまうので、後はどう描かれているかだけしか話としては興味がなくなってしまうわけですが……これって『ルパン三世 カリオストロの城』じゃん!と(^_^;) あまりにもそのまんまなんでおいおいおいって感じでした。
日本ではアメリカのようなヒーロームービーの傑作がなかなか生まれないわけですが、本作は怪人二十面相というキャラクターを使ってそれに挑戦している野心作とでもいえばいいでしょうか。テイストとしてはアメコミヒーローのようなダークサイドに描こうとしていますが、ちょっと中途半端ですかね。
正義の味方でも完全なる悪役でもなく、あくまでそういうキャラクターというところで終わってしまっている。世間をあっと言わせるような大胆不敵な怪盗としての二十面相としての描かれ方がもう少しあってもよかったような気がします。
個人的には、脚本とVFX協力にクレジットされている山崎貴さんが監督した『ジュブナイル』や『リターナー』がとても気に入っているので、これを超えてくれる映画を期待していったのですがそこまでは至らずというところでしょうか。
全体的には、最初から最後までたるむことなく楽しめる作品であり、及第点には達していると思いますし、老若男女を問わず楽しめる映画であることは評価できると思います。
コラム, 推理小説・ミステリー映画
2008/12/22 05:00 MOVIEW